『お願いだから側にいて』~寂しいと言えない少女と孤独な救命医の出会い~
「大丈夫だよ」
「本当に?」
「うん」

確かに痛みはあるけれど、それよりも今は恥ずかしさの方が勝る。

「すぐに病院へ連れて行ってやりたいんだが、」
そこまで言って、階段の上をチラッと見たパパ。

さっきからガラの悪いおじさんたちがじっと睨んでいる。

「心配しないで。たいしたケガではないし、1人でちゃんと帰れるから」
「ダメだよ、病院に行かないと」
「うん、でも、平気だから」
「ダメだ。病院でちゃんと診てもらってくれ」

困ったな。と思いながら、パパの気持ちもわかっていて、私は強く拒絶することができなかった。

「タクシーを拾って、必ず病院へ行くんだ。いいね」
「う、うん」

パパはポケットから出したクシャクシャの五千円札を私に渡すと、柄の悪いおじさんたちのもとへ戻って行った。
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