『お願いだから側にいて』~寂しいと言えない少女と孤独な救命医の出会い~
医大を卒業して、今の病院で研修医になって、もうすぐ3年。
2年間の研修医生活も終わり、常勤医として救命科に採用されてたのが昨年の春。
まだまだ未熟ではあるが、後輩に指導する機会も増えた。
「救命って土日も休みがないし、かなりシビアな状態の患者も多いし、何で救命医を目指したのかなって」
普段から寡黙で、よく勉強しているまじめな子。それが目の前にいる彼の印象。
医者なんて子供の頃から『頭がいい』ってちやほやされてきた子が多いせいか、器用な分手を抜こうとするし楽して生きようとする子が多いが、彼は違った。
「迷っていて。だから先生の意見を聞きたいんです」
彼は今、将来の進路に迷っているらしい。
そう言えば俺はそんな迷いを感じることはなかった。
初めから救命一本だったから。
「俺は救命医になりたくてこの仕事に就いたから」
「へえー」
意外そうな顔。
まあな、救命医なんて良い時には出会わない。
よっぽど具合が悪い時か、家族に何かあった時。どちらにしても幸せな時ではない。
「楽しいですか?」
はあ?
「楽しくはないが、やりがいがある。だから、好きだよ」
本当は「楽しいなんて不謹慎だぞ」と叱ってやりたかったが、これが今どきなんだろうと諦めた。
「やっぱり救命ってかっこいいですよね」
「そうだな」
否定はしない。
俺もそうやって救命医を目指した口だ。
2年間の研修医生活も終わり、常勤医として救命科に採用されてたのが昨年の春。
まだまだ未熟ではあるが、後輩に指導する機会も増えた。
「救命って土日も休みがないし、かなりシビアな状態の患者も多いし、何で救命医を目指したのかなって」
普段から寡黙で、よく勉強しているまじめな子。それが目の前にいる彼の印象。
医者なんて子供の頃から『頭がいい』ってちやほやされてきた子が多いせいか、器用な分手を抜こうとするし楽して生きようとする子が多いが、彼は違った。
「迷っていて。だから先生の意見を聞きたいんです」
彼は今、将来の進路に迷っているらしい。
そう言えば俺はそんな迷いを感じることはなかった。
初めから救命一本だったから。
「俺は救命医になりたくてこの仕事に就いたから」
「へえー」
意外そうな顔。
まあな、救命医なんて良い時には出会わない。
よっぽど具合が悪い時か、家族に何かあった時。どちらにしても幸せな時ではない。
「楽しいですか?」
はあ?
「楽しくはないが、やりがいがある。だから、好きだよ」
本当は「楽しいなんて不謹慎だぞ」と叱ってやりたかったが、これが今どきなんだろうと諦めた。
「やっぱり救命ってかっこいいですよね」
「そうだな」
否定はしない。
俺もそうやって救命医を目指した口だ。