『お願いだから側にいて』~寂しいと言えない少女と孤独な救命医の出会い~
「はあー」

電話を切りカードレールに寄り掛かったまま行き交う人何を見ている俺の耳に、聞こえて来たため息。
消沈した雰囲気が気になって視線を右へと移す。

あれ?

そこにいたのはほんの数時間前に救急外来で出会った少女。
たしか・・・真理愛さんだったかな。
俺と同じようにガードレールに座る17歳の女子高生。

「どうしたの?家に帰らないの?」
もうしばらくで日付が変わる深夜に、若い女の子が一人でいることが心配で声をかけた。

「あ、あなたは」
どうやら彼女も俺の顔を覚えていてくれたらしい。

ん?
彼女が振り向いた拍子に手にしていた携帯の画面がたまたま目に入り反応してしまった。

「何か、困っているの?」

彼女が見ていてのは10代の女の子との出会いを求めるサイト。
もちろん中には健全な動機で登録する人もいるだろうけれど、一般的には援助交際を斡旋するサイトとして知られているものだ。

「大丈夫です」
「大丈夫には見えないけれど?」
「・・・」
やはり彼女は黙り込んでしまった。

俺の周りにいる女子たちと違う素直な反応に、クスッと笑いそうにさえなった。
かわいいな。それが素直な感想。
普段強気な女医に囲まれていて妹なんて持ったことのない俺にはすごく新鮮に感じられた。

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