『お願いだから側にいて』~寂しいと言えない少女と孤独な救命医の出会い~
「うぅーん、美味い」
真理愛が用意してくれた朝食を食べて、思わず声が出た。

出されたのはヨーグルトサラダと、具沢山のオムレツ。あとはどうやって作ったのか熱々のホットサンド。どれも冷蔵庫の残り物で作ったとは思えない。

「口に会ってよかった。これで冷蔵庫の半分は使ったから、あとは地道に食べてね」
「ああ、助かる」

せっかく用意してもらった料理も、ひどい時に手も付けることなく処分してしまうことがあって負担に感じていた。
これで今週は気にせずにいられる。

「敬さん、今日は仕事?」
「ああ」
救命医に土日はないから。

「じゃあ、私は早めに帰るわね」
「うん、送って行くよ」
「いいえ、病院より私の家の方が遠いんだから1人で帰ります。敬さんはゆっくり支度をして」
「わかった」

本人が嫌がることを無理強いする必要はないだろうと、しつこくすることはやめた。
真理愛には真理愛の事情があることだろうし。
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