『お願いだから側にいて』~寂しいと言えない少女と孤独な救命医の出会い~
「なんでお前が謝るんだよ」
「だって」

私は何もしてあげられないから。
それどころか、自分のことさえままならない。

「真理愛はまだ子供なんだから、甘えていればいいんだよ」
「パパ」

パパが思っているほど私は子供じゃない。
ママの立場もパパの置かれている状況も私なりに理解している。
ただ、何もできないだけ。

「すまないな、お前に心配をかけて」
「そんなことないよ」
何があってもパパはパパだもの。

「せっかく話し中のところすまないが、お嬢さん」
「えっ」

いつの間にか後に立っていたスーツの男性に声をかけられた。
この人、昨日会った借金取りだ。

「お願いしたものは用意できたかい?」

まさかこんなに早い時間に出くわすとは思わなかった。でも、

「すみません、用意できませんでした」
「はぁあー?」
一緒にいたいかにもチンピラ風の男が、凄みをきかせて私に詰め寄る。

「困ったねぇ、どうしたものかな?」
スーツ姿の男性は私とパパを交互に見ながらなぜか笑っている。

その不気味さんに背中がゾクっとした。
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