『お願いだから側にいて』~寂しいと言えない少女と孤独な救命医の出会い~
温もり
side 真理愛

どうぞと助手席をすすめられ、乗った敬さんの車は国産のスポーツカー。
「中古だよ」って言うけれど、綺麗に使っていて古さは感じない。
ただ、意外だな。
おじさんなんて遊び用と普段用で車を2台を使い分けていて、どちらも外車だもの。
お医者さんってみんないい車に乗っているんだと思っていた。

「なあ真理愛」
「はい」

思いのほか厳しい声で呼ばれ、振り返った。

「どうしたの?」

車に乗り込んだのになかなか発進しないのを不思議だなって思っていた。
なんだか機嫌が悪そうだし、私何かしたっけ?

「今朝、俺は『寄り道せずにまっすぐ帰れよ』って言ったよな?」
「うん」
私は「はぁい」って答えた。

「じゃあ何で、家に帰らなかった?」
「それは・・・」
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