『お願いだから側にいて』~寂しいと言えない少女と孤独な救命医の出会い~
高城真理愛の事情
side 敬

「あまり近くまで行くと目立つから、この辺に停めるな」
「うん、ありがとう」

公園が車を走らせ、俺たちは真理愛の家の前までやって来た。

そこは閑静な住宅街で、学校や商店が点在する場所。
そんな中で存在感を放つ「高城小児科」は、広い駐車場を備えた立派な病院。
さすがに俺は診察に来たことないが、患者さんからの評判もいい。
今の院長は二代目で、大先生は県の医師会を取りまとめる重鎮だ。

「一人で大丈夫?」

真理愛の不安そうな様子につい声をかけた。
強がっていても、真理愛は緊張して怖がっている。
それでも、駄々をこねることなくまっすぐに前を見る姿を偉いと思う。
本当ならすぐにでもここから逃げ出したい気持ちだろうに。

「帰ります」
「ああ」

フーっと大きく息を吐いてから、真理愛は車を降りていった。

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