『お願いだから側にいて』~寂しいと言えない少女と孤独な救命医の出会い~
side 真理愛

私のママはお金持ちのお嬢様だった。
その上美人で、学生の頃からモテたらしい。

日光アレルギーがあるとかで、外に出ることはできるだけ避け必要に迫られたときは完全防備。
いくら小さな子供がいても、日差しの中へ出ることは一切しない人だった。
だから、私は母と外を歩いた記憶がない。
それどころか、小学生に上がった頃には家の買い物を任されるようになってしまっていた。

「お母さん、すごい美人だって評判だな」
敬さんの何気ない言葉。

そりゃあね、あれだけ色白で、いくら食べても太らない体質のおかげでスレンダー。二重の大きな目が印象的な美魔女。
それが高城小児科の奥様、高城友梨亜の世間での評価。

「まあ、恋人にするには最高な人かもね」
母親には最悪だけれど。

いつまでたっても少女のようで、年齢を感じさせないかわいらしい人。
儚げで、か弱くて、つい守ってあげたくなる存在。
男性にはそう見えるんだろうけれど、娘には違って見える。
何よりも自分が一番で、子供のためにとか、自分は後でいいからなんてことは一切ない人。
物心ついた時からママは私を友達のように扱った。

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