『お願いだから側にいて』~寂しいと言えない少女と孤独な救命医の出会い~
「それで、どうなったんだ?」
やはり敬さんも結果が気になるらしい。

「ママが帰ってきたのは3日後。とは言っても私は意識がなくて全く覚えていないんだけれど」

気が付いたら病院のベットに寝かされていた。
帰ってきたママが驚いて病院へ駆け込んだらしいって聞いたけれど、当時の記憶が私にはない。

「真理愛が無事でよかった」
「そうね」

クスッ。

「ん?」
思わず笑ってしまった私に、敬さんが反応する。

「その時駆け込んだのがおじさんの病院だったの」
「え?」

その反応になるよね。
もちろん最初から意図したものではなかっただろうけれど、私が死にそうなときにママは最愛の旦那様を見つけた。

当時、おじさんも前の奥さんと死別した後で寂しかったんだろうと思う。
一年ほど付き合って、ママたちは入籍した。
結婚と同時に私もおじさんの家に引っ越すことになり、おじさんと、ママと、おじさんの息子である太郎お兄ちゃんとの生活が始まった。

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