Loves only you
⑧
週が明けた。朝礼で村田室長は
「とにかく新規出店のペースが遅い、店舗開発室は何をやってるんだと、上層部はかなりおかんむりの状況だ。体制が変わったのだから、みなさんにも是非、仕事に対する意識革命をお願いしたい。今までの考え方、やり方では結果は変わらない。そのことを肝に銘じて、日々の業務に取り組んでもらいたい。」
と厳しい口調で訓示した。それを受けて
「それでは、本日も1日よろしくお願いします。」
いつもの決まり文句で朝礼を締めた滝。彼自身このところ、デスクで書類とにらめっこしている時間が減り、各担当との打ち合わせや指示、あるいは取引先への外出など、慌ただしく動いている。室長の言葉を、先取りして実践しているように見える。
しかし周囲に対する態度は相変わらず。よく言えばクール、悪く言えば冷たい表情を崩すことはない。
(この前の次長の姿はやっぱり幻だったのかな?それとも私の見間違え・・・?)
コピ-を取りながら、なんとなく滝の方を見た友紀が、つい、そんなことを考えていると
「杉浦、俺の顔になんか付いているのか?」
彼女の視線に気付いた彼から、厳しい声が飛んで来る。
「い、いえ。」
慌てて友紀が答えると
「じゃ、ボサッとしてるな。」
と一言。
「はい。」
友紀は一礼して、自席に戻ろうとすると
「そうだ、杉浦。」
と滝に呼び止められ
「は、はい。」
今度は何を言われるのかと、緊張しながら、振り返ると
「今日の午後は、外出だったな。」
「はい。」
「俺も一緒に行くぞ。」
「えっ?」
「先方に条件を提示する資料はまとまってるんだろう?」
「はい。」
「なら、今日一気に決めてしまおう。」
滝の言葉に、友紀は驚いた。午後から会う取引先とは、だいぶ話が進み、今日はたたき台としての条件提示をし、それをもとに交渉を更に進めて行く。そういう予定になっていたからだ。
「今朝の室長の言葉を聞いていなかったのか?方針変更だ。」
「でもまさか急にそんな話になるとは思いませんでしたから、漆原くんが今日は有休です。」
「なにを言ってるんだ?主務はお前だろ。」
「はい。」
「だったら漆原が居ようと居まいと関係あるまい。昼飯早めに済ませて、すぐに出るぞ。」
滝の勢いに
「わかりました。」
友紀は頷くしかなかった。
「とにかく新規出店のペースが遅い、店舗開発室は何をやってるんだと、上層部はかなりおかんむりの状況だ。体制が変わったのだから、みなさんにも是非、仕事に対する意識革命をお願いしたい。今までの考え方、やり方では結果は変わらない。そのことを肝に銘じて、日々の業務に取り組んでもらいたい。」
と厳しい口調で訓示した。それを受けて
「それでは、本日も1日よろしくお願いします。」
いつもの決まり文句で朝礼を締めた滝。彼自身このところ、デスクで書類とにらめっこしている時間が減り、各担当との打ち合わせや指示、あるいは取引先への外出など、慌ただしく動いている。室長の言葉を、先取りして実践しているように見える。
しかし周囲に対する態度は相変わらず。よく言えばクール、悪く言えば冷たい表情を崩すことはない。
(この前の次長の姿はやっぱり幻だったのかな?それとも私の見間違え・・・?)
コピ-を取りながら、なんとなく滝の方を見た友紀が、つい、そんなことを考えていると
「杉浦、俺の顔になんか付いているのか?」
彼女の視線に気付いた彼から、厳しい声が飛んで来る。
「い、いえ。」
慌てて友紀が答えると
「じゃ、ボサッとしてるな。」
と一言。
「はい。」
友紀は一礼して、自席に戻ろうとすると
「そうだ、杉浦。」
と滝に呼び止められ
「は、はい。」
今度は何を言われるのかと、緊張しながら、振り返ると
「今日の午後は、外出だったな。」
「はい。」
「俺も一緒に行くぞ。」
「えっ?」
「先方に条件を提示する資料はまとまってるんだろう?」
「はい。」
「なら、今日一気に決めてしまおう。」
滝の言葉に、友紀は驚いた。午後から会う取引先とは、だいぶ話が進み、今日はたたき台としての条件提示をし、それをもとに交渉を更に進めて行く。そういう予定になっていたからだ。
「今朝の室長の言葉を聞いていなかったのか?方針変更だ。」
「でもまさか急にそんな話になるとは思いませんでしたから、漆原くんが今日は有休です。」
「なにを言ってるんだ?主務はお前だろ。」
「はい。」
「だったら漆原が居ようと居まいと関係あるまい。昼飯早めに済ませて、すぐに出るぞ。」
滝の勢いに
「わかりました。」
友紀は頷くしかなかった。