Loves only you
昼休み。まだむくれている友紀に
「悪かったよ、友紀。さっきのは私の失言と認めて謝るから、もう機嫌直して。」
さすがに閉口した葉那は詫びを入れる。先輩に頭を下げられ、友紀も「はい」と答えて、とりあえず和解が成立した2人は、いつものように社員食堂に向かう。
メニュ-をトレイに乗せ、席に着くと
「でもさ、友紀は次長のこと、気になってるよね。」
葉那はズバリ切り込んで来る。
「次長もただ厳しくて怖いだけの人じゃないって、みんなも段々わかって来てはいるけど、それでもまだおっかなびっくりって感じじゃない。でも友紀だけは、割と前から、ものおじしないで接してる。そんな友紀を、次長も内心憎からず思ってる。私にはそう見えるんだ。」
「次長が私をどう思ってらっしゃるかは、自分では全然わかりませんけど、でも私が次長のことが気になってるって言うのは、葉那さんがおっしゃる通りです。」
友紀は素直に答える。
「前の室長が、次長のことを『前は優しすぎるくらい優しい人だった』っておっしゃった時、私は正直『本当?』って思いました。でもこの前、お話ししたように、偶然プライベ-トの次長を目撃して、心からの笑顔を浮かべてらっしゃるのを見た時、新井さんの言葉は本当なのかもしれない、そう思ったんです。」
「・・・。」
「だとしたら、何が次長をあそこまで変えてしまったのか、その理由を知りたいと痛切に思っています。理由がわかれば、ひょっとしたら、あの人が笑顔を取り戻す手助けができるかもしれない・・・そんなことを生意気なことを考えてる自分がいるんです。」
箸を動かすのも忘れて、熱っぽく自分に語り掛けて来る友紀の顔を、葉那はしばらく眺めていたが
「あの人、か・・・。」
呟くように言った。
「えっ?」
「今、友紀は『あの人』って言ったんだよ、次長のこと。」
「?!」
自分の無意識の言葉に、友紀は驚く。
「これ前に1度言って、あんたに否定されたけど、やっぱり友紀は次長に惚れたね。」
そう言って、顔を覗き込んで来る葉那。だが、友紀はその言葉を肯定も否定もしなかった。
「でも、その友紀の気持ち、今の次長にはきついかもしれない。」
「えっ、それってどういうことですか?葉那さん。」
思わず勢い込んで尋ねる友紀。事実上、さっきの葉那の言葉を認めたようなものだ。
「今日、終わった後、時間ある?」
友紀の疑問に答えることなく、葉那は違ったことを聞いて来る。
「はい。」
「じゃ、連日で悪いけど、ちょっと付き合ってくれる?ここじゃ、さすがにちょっと話しにくいことだから。」
意味深にやや声を潜めた葉那の言葉に、友紀は引き込まれるように頷いた。
「悪かったよ、友紀。さっきのは私の失言と認めて謝るから、もう機嫌直して。」
さすがに閉口した葉那は詫びを入れる。先輩に頭を下げられ、友紀も「はい」と答えて、とりあえず和解が成立した2人は、いつものように社員食堂に向かう。
メニュ-をトレイに乗せ、席に着くと
「でもさ、友紀は次長のこと、気になってるよね。」
葉那はズバリ切り込んで来る。
「次長もただ厳しくて怖いだけの人じゃないって、みんなも段々わかって来てはいるけど、それでもまだおっかなびっくりって感じじゃない。でも友紀だけは、割と前から、ものおじしないで接してる。そんな友紀を、次長も内心憎からず思ってる。私にはそう見えるんだ。」
「次長が私をどう思ってらっしゃるかは、自分では全然わかりませんけど、でも私が次長のことが気になってるって言うのは、葉那さんがおっしゃる通りです。」
友紀は素直に答える。
「前の室長が、次長のことを『前は優しすぎるくらい優しい人だった』っておっしゃった時、私は正直『本当?』って思いました。でもこの前、お話ししたように、偶然プライベ-トの次長を目撃して、心からの笑顔を浮かべてらっしゃるのを見た時、新井さんの言葉は本当なのかもしれない、そう思ったんです。」
「・・・。」
「だとしたら、何が次長をあそこまで変えてしまったのか、その理由を知りたいと痛切に思っています。理由がわかれば、ひょっとしたら、あの人が笑顔を取り戻す手助けができるかもしれない・・・そんなことを生意気なことを考えてる自分がいるんです。」
箸を動かすのも忘れて、熱っぽく自分に語り掛けて来る友紀の顔を、葉那はしばらく眺めていたが
「あの人、か・・・。」
呟くように言った。
「えっ?」
「今、友紀は『あの人』って言ったんだよ、次長のこと。」
「?!」
自分の無意識の言葉に、友紀は驚く。
「これ前に1度言って、あんたに否定されたけど、やっぱり友紀は次長に惚れたね。」
そう言って、顔を覗き込んで来る葉那。だが、友紀はその言葉を肯定も否定もしなかった。
「でも、その友紀の気持ち、今の次長にはきついかもしれない。」
「えっ、それってどういうことですか?葉那さん。」
思わず勢い込んで尋ねる友紀。事実上、さっきの葉那の言葉を認めたようなものだ。
「今日、終わった後、時間ある?」
友紀の疑問に答えることなく、葉那は違ったことを聞いて来る。
「はい。」
「じゃ、連日で悪いけど、ちょっと付き合ってくれる?ここじゃ、さすがにちょっと話しにくいことだから。」
意味深にやや声を潜めた葉那の言葉に、友紀は引き込まれるように頷いた。