Loves only you
「俺と彼女の間に、なにかあったとしても、それは完全にプライベ-トのことだ。彼女と再会した時、あまりにも意外だったんで、驚いてしまったのは事実だ。だが、例え過去になにがあったとしても、それを仕事に持ち込むことはない。そのくらいのケジメはキチンと付けられるつもりだ。心配するな。」


「心配してるんじゃありません、私は真実を知りたいんです!」


「杉浦・・・。」


「次長が好きなんです。」


「えっ?」


「だから、好きな人のことをもっと知りたいんです!」


そう言って、友紀はじっと滝を見た。あまりにストレ-トな言葉で告白され、一瞬言葉を失った滝だが


「杉浦、お前自分が何を言っているのか、わかっているのか?」


と努めて冷静に言葉を発した。


「もちろんです。」


そう答えた友紀は、滝を見つめたまま。


「それにここをどこだと思ってる?確かに今は他に誰もいないが、ここはオフィスだ。場所をわきまえろ。」


「申し訳ありません。でももう、この思いを胸に納めておくことが出来なくなったんです!」


一途に、訴えるように言葉を紡いでくる友紀の熱い思いを、滝はいささかもてました。


「本当に変わった奴だな。この前、尊敬していると言われた時もかなり驚いたが、告白されるなんて、さすがに夢にも思わなかった。」


「何でですか?」


「俺は着任初日に言ったはずだ。『人間は概ね、自己の欲望の為に人を裏切る。それは特に女において、顕著な特徴であり、ゆえに俺は女という生物を、全く信用していない。』って。忘れたのか?」


「いえ。」


「そんな男を恋愛対象として見るお前は、相当変わってると、自分でも思わないのか?」


「かもしれません。」


友紀が真面目な顔で頷くのを見て、滝は1つため息を吐く。
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