Loves only you
翌朝、友紀が出勤すると、滝は当たり前のように、デスクに居た。その姿に、友紀がなぜかホッとしていると
「杉浦。」
と滝が友紀を呼び寄せる。
「はい、おはようございます。」
友紀が挨拶しながら近づいて行くと
「どうだ?」
と尋ねてくる。
「お待ち下さい。」
友紀はデスクに行き、現時点でまとめた書類を手に取ると、滝に渡した。すぐに目を通し始める滝。
「いかがでしょう?」
お伺いを立てると
「興味深い分析だと思う。ただ。」
「はい。」
「上層部がフルスペック出店にこだわるのは、損して得取れではないが、祖業の寝具以外の商品の認知度を上げたいという思いがあるからだ。今はまだ直接利益に結びつかなくても、将来に向けての種まきの為と、一種割り切ってる部分がある。そんな上を、ただ利益の面だけでは納得させられないんじゃないかと思う。」
「・・・。」
「だから、なぜあのモールには寝具、それも枕メインのショップがいいのか、その明快な理由が欲しい。わかるか?」
「はい・・・。」
「そこらへんを、もう少し考えてみてくれ。」
「わかりました。」
友紀は一礼して、席に戻るが
(この方が利益が取れるから、それ以上の理由なんてあるの・・・?)
正直困惑していた。
この日、滝は午後から他の担当者と、取引先へと出掛けて行った。一方の友紀は、漆原と1日、頭を悩ませた。
「先輩。やっぱり『儲かる』以上の正義は民間企業にはありませんよ。少なくとも室長はこれで押し切れるんじゃないですか?」
村田が帰宅したのを見計らって、漆原が言う。
「うん、まぁ私もそう思うけど・・・。」
友紀は言葉を濁す。実は友紀も村田を大きな障壁とは思っていない。しかし、滝がああ言ってる以上、当然この内容では納得しないのは明らかだった。
(むしろ、次長さえ、納得させられれば、たぶん上層部だって納得させられるはず。)
とまで思っている、ただ滝と約束した2日の期限はもう来てしまった。
「とりあえず、明日もう一回チャレンジだね。今朝次長にお見せしたのは、いわば速報版みたいなものだから。」
「はい。」
そう言って片付けをしたあと、葉那や漆原からの誘いを断り、家路についた友紀。
(お腹、すいた・・・。)
空腹と疲れを覚えた友紀の脳裏に、ふと母優美の暖かな笑顔が浮かぶ。
(今日のお夕飯、何かな・・・?)
そんなことを思いながら、ターミナル駅に降り立ち、乗り換えの為に歩いていると、前方に見知った顔が。
(次長・・・。)
外出先から直帰すると連絡があった滝だった。
(これからご実家に行くのかな?)
近付いて、声を掛けようとして、ハッと足を止める。滝の隣に・・・誰かいる。それが誰であるかに気付いた友紀は、思わず目を疑う。
(紀藤さん・・・。)
仲良さげに肩を並べて歩く滝と明奈。
(どうして・・・?)
友紀は、茫然とそんな2人を見送っていた。
「杉浦。」
と滝が友紀を呼び寄せる。
「はい、おはようございます。」
友紀が挨拶しながら近づいて行くと
「どうだ?」
と尋ねてくる。
「お待ち下さい。」
友紀はデスクに行き、現時点でまとめた書類を手に取ると、滝に渡した。すぐに目を通し始める滝。
「いかがでしょう?」
お伺いを立てると
「興味深い分析だと思う。ただ。」
「はい。」
「上層部がフルスペック出店にこだわるのは、損して得取れではないが、祖業の寝具以外の商品の認知度を上げたいという思いがあるからだ。今はまだ直接利益に結びつかなくても、将来に向けての種まきの為と、一種割り切ってる部分がある。そんな上を、ただ利益の面だけでは納得させられないんじゃないかと思う。」
「・・・。」
「だから、なぜあのモールには寝具、それも枕メインのショップがいいのか、その明快な理由が欲しい。わかるか?」
「はい・・・。」
「そこらへんを、もう少し考えてみてくれ。」
「わかりました。」
友紀は一礼して、席に戻るが
(この方が利益が取れるから、それ以上の理由なんてあるの・・・?)
正直困惑していた。
この日、滝は午後から他の担当者と、取引先へと出掛けて行った。一方の友紀は、漆原と1日、頭を悩ませた。
「先輩。やっぱり『儲かる』以上の正義は民間企業にはありませんよ。少なくとも室長はこれで押し切れるんじゃないですか?」
村田が帰宅したのを見計らって、漆原が言う。
「うん、まぁ私もそう思うけど・・・。」
友紀は言葉を濁す。実は友紀も村田を大きな障壁とは思っていない。しかし、滝がああ言ってる以上、当然この内容では納得しないのは明らかだった。
(むしろ、次長さえ、納得させられれば、たぶん上層部だって納得させられるはず。)
とまで思っている、ただ滝と約束した2日の期限はもう来てしまった。
「とりあえず、明日もう一回チャレンジだね。今朝次長にお見せしたのは、いわば速報版みたいなものだから。」
「はい。」
そう言って片付けをしたあと、葉那や漆原からの誘いを断り、家路についた友紀。
(お腹、すいた・・・。)
空腹と疲れを覚えた友紀の脳裏に、ふと母優美の暖かな笑顔が浮かぶ。
(今日のお夕飯、何かな・・・?)
そんなことを思いながら、ターミナル駅に降り立ち、乗り換えの為に歩いていると、前方に見知った顔が。
(次長・・・。)
外出先から直帰すると連絡があった滝だった。
(これからご実家に行くのかな?)
近付いて、声を掛けようとして、ハッと足を止める。滝の隣に・・・誰かいる。それが誰であるかに気付いた友紀は、思わず目を疑う。
(紀藤さん・・・。)
仲良さげに肩を並べて歩く滝と明奈。
(どうして・・・?)
友紀は、茫然とそんな2人を見送っていた。