若社長は面倒くさがりやの彼女に恋をする
どうしたものか。
両親にも話していないけど、成り行きで真鍋さんには話してしまっている。
やっぱり、昨日はまだ我慢するべきだったか? ……いや、それでは僕の心が持たない。
うん。言っておこう。さすがに秘書に隠し続けるのはやめた方が良い。彼には知っておいてもらった方が良い。
「……そう。将来を誓い合いたくて全力でアプローチ中の彼女がいてね」
「え?」
秘書の動作が止まる。そんなに意外?
「そんなお方が……いつの間に?」
「うん。先週の金曜日」
「は? ……え? 四日前の金曜日、ですか?」
多分、彼は僕の金曜日のスケジュールを思い起こしている。
「取引先の人とかじゃないよ。偶然出会った女の人」
響子さんとの出会いを思い浮かべると自然と笑顔があふれ出す。
僕はまたしても緩みきった笑顔になっていたらしい。
「……そう言えば、人生で一番幸せ、とおっしゃってましたっけ」
ああ、そんなことを言った気もする。
「どんなお方か伺っても宜しいですか?」
「んー。まだダメ」
「まだダメ、ですか」
「アプローチ中なんだ。変に情報が漏れて、彼女にプレッシャーをかけたくないから」
「えーっと、そのお方は社長とお付き合いしたくないと?」
秘書は怪訝そうな顔をする。
「一応、OKもらったんだけど、まだ将来を誓い合うまでは行けてないから」
「……欲がない方なんですね」
「そうだね。究極に自立した人かな。僕の肩書きなんて邪魔くさいだけかも」
そう言って笑うと、秘書はそんな人がいるのかとでも言いたげに眉をしかめた。
◇ ◇ ◇
両親にも話していないけど、成り行きで真鍋さんには話してしまっている。
やっぱり、昨日はまだ我慢するべきだったか? ……いや、それでは僕の心が持たない。
うん。言っておこう。さすがに秘書に隠し続けるのはやめた方が良い。彼には知っておいてもらった方が良い。
「……そう。将来を誓い合いたくて全力でアプローチ中の彼女がいてね」
「え?」
秘書の動作が止まる。そんなに意外?
「そんなお方が……いつの間に?」
「うん。先週の金曜日」
「は? ……え? 四日前の金曜日、ですか?」
多分、彼は僕の金曜日のスケジュールを思い起こしている。
「取引先の人とかじゃないよ。偶然出会った女の人」
響子さんとの出会いを思い浮かべると自然と笑顔があふれ出す。
僕はまたしても緩みきった笑顔になっていたらしい。
「……そう言えば、人生で一番幸せ、とおっしゃってましたっけ」
ああ、そんなことを言った気もする。
「どんなお方か伺っても宜しいですか?」
「んー。まだダメ」
「まだダメ、ですか」
「アプローチ中なんだ。変に情報が漏れて、彼女にプレッシャーをかけたくないから」
「えーっと、そのお方は社長とお付き合いしたくないと?」
秘書は怪訝そうな顔をする。
「一応、OKもらったんだけど、まだ将来を誓い合うまでは行けてないから」
「……欲がない方なんですね」
「そうだね。究極に自立した人かな。僕の肩書きなんて邪魔くさいだけかも」
そう言って笑うと、秘書はそんな人がいるのかとでも言いたげに眉をしかめた。
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