若社長は面倒くさがりやの彼女に恋をする
「あ、ううん。えーと、わたしの稼ぎで足りるだろうから大丈夫」
思わず口走ると、
「ちょっと、待って!?」
と弥生が驚いたように私の肩を掴んだ。
「大丈夫だよ?」
「いや、全然大丈夫に聞こえないんだけど」
んー。なんて言えば伝わるのかな?
「つまり、私ね、彼氏じゃなくてお嫁さんが欲しいんだよ」
「は?」
「私が外で働くから、家庭を守って欲しいって言うかさ。……そういう人がいたら最高」
そう言うと、弥生は毒気を抜かれたように私の肩から手を下ろした。
「……なるほど。響子らしいっちゃ、響子らしいか。つまり、新しい彼氏は家のことやってくれる人なんだ」
「うん。ご飯作ってくれる」
そう言うと、弥生は苦笑いをした。
「まあ、響子にはそう言う人がいいのかもね。……脳外、忙しいもんね。今、当直、週何回?」
「二回くらい」
「寝られる?」
「まさか」
当直なんて名前だけで実際には夜勤だし。ってか、そう思ってなきゃやってらんない。
気がつくと、もう病院が目の前だった。この先は行き先が分かれる。
「タイムアップか。ねえ、今度、その人に会わせてよ」
「えー」
「言いたいことは分かったけど、ちょっと心配だわ、それ」
「大丈夫」
「かも知れないけど。じゃあ、私も彼氏見つけとくからダブルデート」
「そんな暇ないよ」
「じゃあ、近い内に夕飯食べに行こ! 連絡するね」
それもちょっと、と答えを返す前に、じゃあねと元気に手を振り弥生は行ってしまった。
◇ ◇ ◇
思わず口走ると、
「ちょっと、待って!?」
と弥生が驚いたように私の肩を掴んだ。
「大丈夫だよ?」
「いや、全然大丈夫に聞こえないんだけど」
んー。なんて言えば伝わるのかな?
「つまり、私ね、彼氏じゃなくてお嫁さんが欲しいんだよ」
「は?」
「私が外で働くから、家庭を守って欲しいって言うかさ。……そういう人がいたら最高」
そう言うと、弥生は毒気を抜かれたように私の肩から手を下ろした。
「……なるほど。響子らしいっちゃ、響子らしいか。つまり、新しい彼氏は家のことやってくれる人なんだ」
「うん。ご飯作ってくれる」
そう言うと、弥生は苦笑いをした。
「まあ、響子にはそう言う人がいいのかもね。……脳外、忙しいもんね。今、当直、週何回?」
「二回くらい」
「寝られる?」
「まさか」
当直なんて名前だけで実際には夜勤だし。ってか、そう思ってなきゃやってらんない。
気がつくと、もう病院が目の前だった。この先は行き先が分かれる。
「タイムアップか。ねえ、今度、その人に会わせてよ」
「えー」
「言いたいことは分かったけど、ちょっと心配だわ、それ」
「大丈夫」
「かも知れないけど。じゃあ、私も彼氏見つけとくからダブルデート」
「そんな暇ないよ」
「じゃあ、近い内に夕飯食べに行こ! 連絡するね」
それもちょっと、と答えを返す前に、じゃあねと元気に手を振り弥生は行ってしまった。
◇ ◇ ◇