若社長は面倒くさがりやの彼女に恋をする
大根サラダ、だし巻き卵、揚げ出し豆腐、刺身盛り合わせ、牡蠣フライ。いいね、どれも美味しそう。
あ、おにぎりとお味噌汁も最初に頼むんだ。
「取りあえず、これでお願いします」
「かしこまりました。お飲み物とお通しをお持ちしますので、少々お待ちください」
綺麗にお辞儀をして、店員さんは個室のドアを閉めて出て行った。
……居酒屋? ホント?
「もし、他にも食べたくなったら言ってくださいね」
メニューをしまいながら、牧村さんはにこりと笑う。
何というか、色々慣れてるなぁと思う。職業柄?
「すみません。全部お任せで」
「全然問題ないですよ」
牧村さんは少しの沈黙の後、ふと思いついたように、
「響子さん、手出してください」
と自らの手をテーブルの上向きに置いた。
「なんですか?」
と言いつつ、言われるままに差し出すと、そっと両手で握られた。
「え?」
慌てて引っ込めようとするけど、握り込まれてほどけない。
何なんだ、突然。
「寒くないです?」
「はい?」
「手、とても冷たいですよ?」
……それで手を握られたの?
牧村さんの手はとても温かくて、そして大きかった。
「末端冷え性なんです。牧村さんの手、あったかいですね」
「よかったら、カイロ代わりに使ってください」
ニコリと笑った牧村さんはそのまま何故か私の手のひらのマッサージを始めた。ギュッギュッと親指の付け根や指と指の間を指圧される。
……何これ、気持ちいいじゃないか。
右手が終わったところで、店員さんが戻ってきた。
あ、おにぎりとお味噌汁も最初に頼むんだ。
「取りあえず、これでお願いします」
「かしこまりました。お飲み物とお通しをお持ちしますので、少々お待ちください」
綺麗にお辞儀をして、店員さんは個室のドアを閉めて出て行った。
……居酒屋? ホント?
「もし、他にも食べたくなったら言ってくださいね」
メニューをしまいながら、牧村さんはにこりと笑う。
何というか、色々慣れてるなぁと思う。職業柄?
「すみません。全部お任せで」
「全然問題ないですよ」
牧村さんは少しの沈黙の後、ふと思いついたように、
「響子さん、手出してください」
と自らの手をテーブルの上向きに置いた。
「なんですか?」
と言いつつ、言われるままに差し出すと、そっと両手で握られた。
「え?」
慌てて引っ込めようとするけど、握り込まれてほどけない。
何なんだ、突然。
「寒くないです?」
「はい?」
「手、とても冷たいですよ?」
……それで手を握られたの?
牧村さんの手はとても温かくて、そして大きかった。
「末端冷え性なんです。牧村さんの手、あったかいですね」
「よかったら、カイロ代わりに使ってください」
ニコリと笑った牧村さんはそのまま何故か私の手のひらのマッサージを始めた。ギュッギュッと親指の付け根や指と指の間を指圧される。
……何これ、気持ちいいじゃないか。
右手が終わったところで、店員さんが戻ってきた。