若社長は面倒くさがりやの彼女に恋をする
23.
木曜日の朝一。牧村さんにもらった柿の葉寿司を食べていると高橋先生がやって来た。
「おはよう、響子先生。何食べてるんですか?」
「ん? 柿の葉寿司です」
「柿の葉寿司? 奈良土産?」
「へえ~。柿の葉寿司って奈良名物なんですか?」
「確か」
そう言えば、ずっと昔に食べた時には父がお土産に買ってきてくれたんだっけ?
よく覚えていないけど、多分出張に行ったとかそんな感じだったのだと思う。あれは奈良土産だったんだ。なんて考えていると、
「そっか、じゃあ昼か夜食にでもどうぞ」
とデスクにビニール袋が置かれた。
「あ、カップスープは今でも良いかも」
「良いんですか? なんか、最近もらってばっかで、すみません」
そう言いながら中を覗くと、日持ちのする菓子パンが三つとカップのお味噌汁が入っていた。パンと味噌汁の組み合わせが微妙で、そんなところが高橋先生っぽくて妙に笑える。
パンに味噌汁より、柿の葉寿司に味噌汁の方が合うだろう。
今日は午前に外来。多分、昼を食べられるのは二時か三時だし落ち着いて食べる時間はきっと取れない。けど、今なら時間がある。
「じゃあ、お味噌汁は今頂こうかな。ありがとうございます」
「どういたしまして」
高橋先生は満面の笑みを浮かべた。
なんで差し入れをもらった私より、高橋先生の方が嬉しそうなのだろう? なんか良いことあったのかな?
しかも、
「じゃ、お湯沸かして入れてくるね」
と機嫌良く袋からカップの味噌汁を取り出す辺りで、更に疑問が深まる。
「それくらい自分でやりますよ」
先輩にそこまでさせられないと慌てて立ち上がろうとすると、
「いいからいいから」
と肩を押さえられてしまった。
「自分の分も買ってきたんだ。一緒に入れるから大丈夫」
だったら、むしろ「一緒に入れてきて」と言われてもいい場面じゃないかな?
そう思ったけど、声をかける間もなく高橋先生は行ってしまった。
「おはよう、響子先生。何食べてるんですか?」
「ん? 柿の葉寿司です」
「柿の葉寿司? 奈良土産?」
「へえ~。柿の葉寿司って奈良名物なんですか?」
「確か」
そう言えば、ずっと昔に食べた時には父がお土産に買ってきてくれたんだっけ?
よく覚えていないけど、多分出張に行ったとかそんな感じだったのだと思う。あれは奈良土産だったんだ。なんて考えていると、
「そっか、じゃあ昼か夜食にでもどうぞ」
とデスクにビニール袋が置かれた。
「あ、カップスープは今でも良いかも」
「良いんですか? なんか、最近もらってばっかで、すみません」
そう言いながら中を覗くと、日持ちのする菓子パンが三つとカップのお味噌汁が入っていた。パンと味噌汁の組み合わせが微妙で、そんなところが高橋先生っぽくて妙に笑える。
パンに味噌汁より、柿の葉寿司に味噌汁の方が合うだろう。
今日は午前に外来。多分、昼を食べられるのは二時か三時だし落ち着いて食べる時間はきっと取れない。けど、今なら時間がある。
「じゃあ、お味噌汁は今頂こうかな。ありがとうございます」
「どういたしまして」
高橋先生は満面の笑みを浮かべた。
なんで差し入れをもらった私より、高橋先生の方が嬉しそうなのだろう? なんか良いことあったのかな?
しかも、
「じゃ、お湯沸かして入れてくるね」
と機嫌良く袋からカップの味噌汁を取り出す辺りで、更に疑問が深まる。
「それくらい自分でやりますよ」
先輩にそこまでさせられないと慌てて立ち上がろうとすると、
「いいからいいから」
と肩を押さえられてしまった。
「自分の分も買ってきたんだ。一緒に入れるから大丈夫」
だったら、むしろ「一緒に入れてきて」と言われてもいい場面じゃないかな?
そう思ったけど、声をかける間もなく高橋先生は行ってしまった。