若社長は面倒くさがりやの彼女に恋をする
駐車場で案内されたのは今日はいつもと違う車で、その傍らに制服姿の運転手さんが待っていた。何となく見覚えのある初老の運転手さん。
「あ! 先週はお世話になりました」
ちょうど一週間前、駅の近くの路上で牧村さんに助けられた後、家まで送ってくれた人だと気付いてお礼を口にすると、優しげな包み込むような笑顔で応えてくれた。
「いえいえ、お元気そうで良かったです」
「あ、はい。すっかり元気になりました」
運転手さんは笑顔を浮かべたまま、慣れた手つきで
「どうぞお乗り下さい」
とドアを開けてくれた。これ、乗ってもいいのかと思わず牧村さんに目を向けると、微笑んで頷いてくれた。
「家までで良いですよね?」
「はい」
いかにも高級車という車の座席に身を沈めると、気持ちよさにうっかり目をつむりそうになる。
先週は気付かなかったけど、この車座り心地が抜群に良い。
「真鍋さん、響子さんの家までお願いします」
反対側の後部座席に乗り込みながら、牧村さんが運転手さん……真鍋さんに言う。
「では、近道で行きますね」
「調べてくれたんですか?」
「はい。裏道だと大分早く着きますよ。この時間、大通りは混んでますしね。……社長ももちろんご存じですよね?」
「当然です」
得意げな牧村さんの声を聞き、真鍋さんがクスクス笑う。
仲良いな。仕事のパートナー?
この二人が一緒に仕事(?)をしているとして、こんな高級車どこから調達してくるんだろう?
だけど睡眠不足がたたって、車が病院の駐車場を出る頃には早くも私の意識は途切れがちになり、公道に出て程なく眠り込んでしまった。
「あ! 先週はお世話になりました」
ちょうど一週間前、駅の近くの路上で牧村さんに助けられた後、家まで送ってくれた人だと気付いてお礼を口にすると、優しげな包み込むような笑顔で応えてくれた。
「いえいえ、お元気そうで良かったです」
「あ、はい。すっかり元気になりました」
運転手さんは笑顔を浮かべたまま、慣れた手つきで
「どうぞお乗り下さい」
とドアを開けてくれた。これ、乗ってもいいのかと思わず牧村さんに目を向けると、微笑んで頷いてくれた。
「家までで良いですよね?」
「はい」
いかにも高級車という車の座席に身を沈めると、気持ちよさにうっかり目をつむりそうになる。
先週は気付かなかったけど、この車座り心地が抜群に良い。
「真鍋さん、響子さんの家までお願いします」
反対側の後部座席に乗り込みながら、牧村さんが運転手さん……真鍋さんに言う。
「では、近道で行きますね」
「調べてくれたんですか?」
「はい。裏道だと大分早く着きますよ。この時間、大通りは混んでますしね。……社長ももちろんご存じですよね?」
「当然です」
得意げな牧村さんの声を聞き、真鍋さんがクスクス笑う。
仲良いな。仕事のパートナー?
この二人が一緒に仕事(?)をしているとして、こんな高級車どこから調達してくるんだろう?
だけど睡眠不足がたたって、車が病院の駐車場を出る頃には早くも私の意識は途切れがちになり、公道に出て程なく眠り込んでしまった。