若社長は面倒くさがりやの彼女に恋をする
「日曜日、朝から来てもいいですか? それとも朝はゆっくり寝られますか?」

 聞かれて一瞬迷う。確かに休みの日はいつも昼まで寝る。昼ごろ起きて大急ぎで洗濯して、掃除もする。でも、本当は早く起きてやることやって夜早く寝た方が身体に良いのも分かっている。

「朝からで大丈夫です」

 日曜日か。何時に起きればいいかなぁ。
 部屋の掃除……朝何時にやればいいんだ?

「ありがとうございます!」

 牧村さんは満面の笑みを浮かべ、そのまま私を抱きしめてきた。

「ちょっ……牧村さん!?」

「響子さん、大好きです」

「いえそうじゃなくて」

「実は来週は出張で一週間来られないんです」

「え?」

「なので、日曜日、一日一緒にいられて本当に嬉しいです!」

 いやそうじゃなくて、来週ずっと出張?
 ずっとって一週間、月曜日から金曜日まで会えないってこと?

「……寂しいと思ってくれるんですか?」

 聞かれてドキッと心臓が跳ねた。

「嬉しいです」

 何も返事をしていないのに牧村さんは熱い視線を私に送る。
 ……そんなに顔に出てた?
 確かに、寂しいって思った。思いはしたけど。
 牧村さんの顔が近づいて来る。あ、キスされると思ったところで、牧村さんは律儀に聞いてきた。

「響子さん、キスしても良い?」

 いいともダメとも答えられなかったけど、思わず顔を上げて牧村さんの目をじっと見つめ返してしまった。ダメだ、これじゃあYESと返事をしたのと変わらない……。
 私の頬に手を当て、とろけそうな笑みを浮かべた牧村さんの顔がスーッと近づいて来た。

 額にキスを落とされ、次に頬に。それで終わりかと思ったら、最後に唇にもキスされる。
 抱き締められて、頭を撫でられたところで牧村さんが我に返った。
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