若社長は面倒くさがりやの彼女に恋をする
 僕は明日のスケジュールを確認するべく手帳を開いた。
 思わず笑顔になる。
 最初の会議は十時だった。最悪、九時五十分に出社していれば何とかなる。
 朝、響子さんを迎えに行こう。
 会えなきゃ仕方ないのは昨日と同じ。早く終わることはないと思うけど、七時四十五分に病院到着。待つのは最大八時四十五分まで。これなら、響子さんを部屋に送り届けても仕事に支障はない。

 僕はデスクの上の電話を取り上げ、既に退社していた秘書を呼び出した。

「勤務時間外にごめんね。明日だけど、フレックス出社にするから」

「はい。了解です。最初の会議は十時です」

「うん。分かってる。遅くても十分前には席に着くようにする」

「よろしくお願いします。……若園様のお迎えですか?」

「あ、うん、そう。よく分かるね」

「いやー、分からないはずないと思いますけど」

 電話の向こうから秘書のクスクス笑いが聞こえてきた。

「そう? まあとにかく、そんな訳だから、よろしく」

 後は、会食帰りに迎えに来てくれる真鍋さんに明日の出社前の寄り道について忘れず伝えなくては。


   ◇   ◇   ◇

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