若社長は面倒くさがりやの彼女に恋をする
7.
 朝起きたら熱が下がっていた。
 頭痛もない。
 そして、今日も呼び鈴で起こされ、現在目の前には牧村さんがいた。

「えーと、お仕事は?」

 と聞くと

「今日は土曜日ですよ」

 と微笑まれた。
 そうか。確かに今日はスーツではない。ラフな私服も似合っていた。

「熱、下がりましたね。良かった」

 そう言って自然な様子でおでこに手を当てられる。何回目だろう? 何度やられてもやたらと懐かしく、妙にあたたかな想いが胸を照らす。

「どんな具合か分からなかったので、一応お粥と後食べれたらと思ってサンドイッチやおにぎりなども買って来ました。果物、ゼリー、ヨーグルト、それから追加のスポーツドリンクも」

「……それは、ありがとうございます」

 申し訳ない、そこまでしなくても、とは思うが、大分楽にはなったがまだまだダルさが残っている。
 鼻声だし風邪なのは間違いない。でも、風邪以前に過労なんだろうと思う。まあ、普通に考えてもブラックな職場だよね。

「どうぞ」

 と渡されて、ありがたく受け取りつつ、このまま帰すのが申し訳なくなる。だからと言って、お茶を出すとかそう言う関係でもない。と思っていると笑顔で言われる。

「上がっても良いですか? まだしんどそうですよね? お粥とかインスタントですが用意しますよ」

 その言葉に思わず「お願いします」と答えていた。



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