若社長は面倒くさがりやの彼女に恋をする
「仕事のが大切だし、夜勤あるし呼び出しあるし、料理も掃除もいわゆる家事はそもそもやる気もないし」
物の少ない簡素な室内を見回しながら、響子さんはそう言った。部屋は清潔だったけどキッチンはほとんど使った形跡がないし、小さな冷蔵庫もほぼ空っぽだった。多分、夏には飲み物が冷やされるんだろうな、くらいの感じ。今は飲みかけの牛乳パックが一本と食パンが入ってるだけだった。(食パンは冷蔵庫に入れなくても良いのでは?と思った)
「てかむしろ、私は嫁に行きたいんじゃなくて嫁が欲しいんですよね」
響子さんは遠くを見るような目でそう言った。そこに「そうだったら良いのにな」と言うような強い願望や憧憬というようなものが見えたので、すかさず押す。
「最低限の家事なら私もできますし、美味しい食事や綺麗な部屋が必要ならヘルパーさんを頼めば問題なしです」
海外駐在中は家事も自分でしていたし、料理も簡単なものなら作れる。何より、忙しければヘルパーさんを頼めば済む話だ。うちの母は専業主婦だし家事はするけど、お手伝いさんもいる。幸い僕にはヘルパーさんを数人雇ってもびくともしないくらいの収入がある。
「……ああ、なるほど」
響子さんは今まで考えたこともなかったというように、目を丸くした。
そのまま、嬉しそうに口元がほころぶ。
これは、自分もヘルパーさんを頼もうとか思っているな、と響子さんの思考は丸見えだった。響子さんはお医者さんだ。そうとは思えないくらい質素な暮らしをしているけど、お金に困っているというより物にこだわらない性格っぽい感じ。必要となれば、多分、ヘルパーさんくらい気軽に雇えるだろう。何なら、もっと広い部屋に移って住み込みのお手伝いさんだって雇えるかもしれない。
いや、ダメだ。そうじゃない、響子さん!
物の少ない簡素な室内を見回しながら、響子さんはそう言った。部屋は清潔だったけどキッチンはほとんど使った形跡がないし、小さな冷蔵庫もほぼ空っぽだった。多分、夏には飲み物が冷やされるんだろうな、くらいの感じ。今は飲みかけの牛乳パックが一本と食パンが入ってるだけだった。(食パンは冷蔵庫に入れなくても良いのでは?と思った)
「てかむしろ、私は嫁に行きたいんじゃなくて嫁が欲しいんですよね」
響子さんは遠くを見るような目でそう言った。そこに「そうだったら良いのにな」と言うような強い願望や憧憬というようなものが見えたので、すかさず押す。
「最低限の家事なら私もできますし、美味しい食事や綺麗な部屋が必要ならヘルパーさんを頼めば問題なしです」
海外駐在中は家事も自分でしていたし、料理も簡単なものなら作れる。何より、忙しければヘルパーさんを頼めば済む話だ。うちの母は専業主婦だし家事はするけど、お手伝いさんもいる。幸い僕にはヘルパーさんを数人雇ってもびくともしないくらいの収入がある。
「……ああ、なるほど」
響子さんは今まで考えたこともなかったというように、目を丸くした。
そのまま、嬉しそうに口元がほころぶ。
これは、自分もヘルパーさんを頼もうとか思っているな、と響子さんの思考は丸見えだった。響子さんはお医者さんだ。そうとは思えないくらい質素な暮らしをしているけど、お金に困っているというより物にこだわらない性格っぽい感じ。必要となれば、多分、ヘルパーさんくらい気軽に雇えるだろう。何なら、もっと広い部屋に移って住み込みのお手伝いさんだって雇えるかもしれない。
いや、ダメだ。そうじゃない、響子さん!