若社長は面倒くさがりやの彼女に恋をする
「すみません。鍵、出してもらっても良いですか。外ポケットに……」
痛い。早く横になりたい。
そう言えば、何時間寝てないんだっけ。昨日は日勤からの夜勤で、一昨日はどうだったっけ。そうだ日勤で、夜中に呼び出しで叩き起こされたんだ。うん。あの日は何時間かは寝られた気がする。後は昨日、ささやかな昼休みに十五分の仮眠程度。そうだ。睡眠を優先したから昼が野菜ジュースになったんだった。
牧村さんの言った「過労」って言葉が頭をよぎる。過労……働き過ぎ。うん。確かに働き過ぎだよね。大概ブラックだ。けど、急患は待ってくれないのだから仕方ないじゃないか。
「お待たせしました。どうぞ」
いつの間にか鍵が開けられドアも開いていた。
「ありがとうございました。助かりました」
と言ったと思う。
運転手さんは鞄を玄関まで荷物を運んでくれて、
「お大事に」
と言ってくれた。
ドアの鍵を閉められたかどうかは覚えていない。
そのまま、ふらふらと狭い部屋に入りベッドに倒れ込んだと思ったら、安心感から急速に意識が遠のいた。狭い部屋で良かった、ベッドまでの距離が近い。そんなことを思った自分が、こんな時に何考えてるんだとやけにおかしかった。
◇ ◇ ◇
痛い。早く横になりたい。
そう言えば、何時間寝てないんだっけ。昨日は日勤からの夜勤で、一昨日はどうだったっけ。そうだ日勤で、夜中に呼び出しで叩き起こされたんだ。うん。あの日は何時間かは寝られた気がする。後は昨日、ささやかな昼休みに十五分の仮眠程度。そうだ。睡眠を優先したから昼が野菜ジュースになったんだった。
牧村さんの言った「過労」って言葉が頭をよぎる。過労……働き過ぎ。うん。確かに働き過ぎだよね。大概ブラックだ。けど、急患は待ってくれないのだから仕方ないじゃないか。
「お待たせしました。どうぞ」
いつの間にか鍵が開けられドアも開いていた。
「ありがとうございました。助かりました」
と言ったと思う。
運転手さんは鞄を玄関まで荷物を運んでくれて、
「お大事に」
と言ってくれた。
ドアの鍵を閉められたかどうかは覚えていない。
そのまま、ふらふらと狭い部屋に入りベッドに倒れ込んだと思ったら、安心感から急速に意識が遠のいた。狭い部屋で良かった、ベッドまでの距離が近い。そんなことを思った自分が、こんな時に何考えてるんだとやけにおかしかった。
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