若社長は面倒くさがりやの彼女に恋をする
「え? これ、牧村さんちの鍋ですか?」
「はい。古いもので申し訳ないです」
傷んではいないけど、それなりに使い込まれた鍋。
……やっぱり、新しい物を買ってきてもらった方が良かったかな?
「いえ全然問題ないです」
だけど、響子さんはまったく気にするそぶりを見せなかった。
そして、今度はカセットコンロやとんすいを指さした。
「もしかして、これも?」
「はい。あれこれ一式」
そう言いながら土鍋の蓋を開けると、響子さんの顔がふわーっと笑顔になった。
「美味しそう」
「響子さん、病み上がりなので、味に癖のない水炊きにしておきました」
「水炊き……懐かしい」
「良かった。寄せ鍋と悩んだんです。味付けはポン酢で大丈夫ですか?」
「はい」
他愛ない会話を楽しみながら、鍋の具をとんすいに取り分ける。
嬉しそうな様子からして、どうやら今日の具材に好き嫌いはなさそうなので、遠慮なく全ての具材を彩りよくバランス良くつけていく。
「はい、どうぞ」
「……あ、鶏肉だ」
「はい。悩んだんですが、今日はサッパリと鶏肉にしました。何か好きな具はありますか?」
次の機会の参考までに聞いてみると、響子さんは、
「つみれ」
と迷うことなく即答した。
「良いですね! 魚は無理ですが、鶏肉で良ければ今作りますよ」
幸い、つみれくらいならすぐに作れる。
鶏肉は少し余分に用意してあるし、何なら、鍋に入れようと切っておいてある分も使ってしまえば良い。
「はい。古いもので申し訳ないです」
傷んではいないけど、それなりに使い込まれた鍋。
……やっぱり、新しい物を買ってきてもらった方が良かったかな?
「いえ全然問題ないです」
だけど、響子さんはまったく気にするそぶりを見せなかった。
そして、今度はカセットコンロやとんすいを指さした。
「もしかして、これも?」
「はい。あれこれ一式」
そう言いながら土鍋の蓋を開けると、響子さんの顔がふわーっと笑顔になった。
「美味しそう」
「響子さん、病み上がりなので、味に癖のない水炊きにしておきました」
「水炊き……懐かしい」
「良かった。寄せ鍋と悩んだんです。味付けはポン酢で大丈夫ですか?」
「はい」
他愛ない会話を楽しみながら、鍋の具をとんすいに取り分ける。
嬉しそうな様子からして、どうやら今日の具材に好き嫌いはなさそうなので、遠慮なく全ての具材を彩りよくバランス良くつけていく。
「はい、どうぞ」
「……あ、鶏肉だ」
「はい。悩んだんですが、今日はサッパリと鶏肉にしました。何か好きな具はありますか?」
次の機会の参考までに聞いてみると、響子さんは、
「つみれ」
と迷うことなく即答した。
「良いですね! 魚は無理ですが、鶏肉で良ければ今作りますよ」
幸い、つみれくらいならすぐに作れる。
鶏肉は少し余分に用意してあるし、何なら、鍋に入れようと切っておいてある分も使ってしまえば良い。