満月の夜に。
私はその男のことが気になり、声をかけた。
「ねぇ…、家はこの近く?」
静かな公園に、虫の音と私の声だけが響く。
男はこちらへ目を向けた。
「いや、微妙。」
私と同じなんだろうか。
「なんでここに来たの、?」
その男は軽くブランコを揺らした。
金色の髪が揺れる。
「ブラブラしてたら、いい公園見つけたから。」
「まさか先客がいると思わなかったよ、いつも1人だから。」
その男はチラッとこっちを見て、「いつも…?」そう言った。