シンガポールから出られない!
日本よりも蒸し暑い空気、英語だけじゃなくて色んな言葉が飛び交っている街、青く美しい空と海、そんなシンガポールの地に私、夏原梨花(なつはらりか)は降り立った。

「うわぁ〜!本物のマーライオンだ!」

スマホで写真を撮った後、多くの人が行き交う中、ある人を探す。ここで待ち合わせをしているんだ。

私は会社の有給を使い、シンガポールにある人から招待されたため、遊びに来た。海外に一人で行くことに両親は心配そうだったけど、シンガポールは諸外国より法律が厳しいおかげか、年間に発生する殺人事件は十件あるかないか程度で、女性が安心して一人旅ができる国だ。

「梨花さん、ですか?」

キョロキョロと辺りを見渡していると、声をかけられる。振り向けば、艶やかな黒髪に褐色の肌、可愛らしい顔立ちのイケメンさんが立っている。

「はい。リシさんですよね?」

私がそう訊ねると、目の前にいる男性ーーーリシ・イサークさんはニコリと笑って頷く。無事に会えてよかった……!この人が私が探していた人である。
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