シンガポールから出られない!
だが、周りを見るとそこは私が案内されたゲストルームではないことがわかった。ゲストルームにはなかった本棚やパソコンなどが置かれている。そしてーーー。

「何これ……外れない……」

私の両手は頭の上で紐か何かで縛られ、固定されていた。これではベッドの上から移動できない。

「ああ、目が覚めたんですね」

そこへドアが開き、リシさんが入ってきた。熱のこもった目でジッと見つめられ、体が震え始める。

「リシさん、私、誰にも見たことや聞いたことを言いません。だから、放してください……」

恐怖で泣きそうになりながら言うと、リシさんが私の体の上に乗ってくる。そして、私の胸元からお腹の下辺りまでを細長い指でそっとなぞった。そして、昼間のように優しい笑みを浮かべて言う。

「僕が話していたのは、夕方あなたに話した海賊の男です。僕はその男にビジネスの邪魔になる人物たちを消してもらっていたんですよ」

「わ、私も消されるってことですか?」
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