モテすぎる先輩からめちゃくちゃに愛されたい
本当は今すぐにでも涙が溢れそうだった。

だけど、多分ここで泣いたら渚先輩に心配かけちゃうから。


だから絶対に泣かないー…



「そーですよね!あはは、分かってました」


「…莉愛」



先輩が何を言うのかが怖くて、聞きたくなくて、靴下を脱いでそのままプールにダイブした。


ザッパ〜ン!と波打つ音が響く。

水泳部がほとんど温水状態で使っていたから全然温かいけど、おかげさまでずぶ濡れ。


我ながらほんっとうにバカだと思った。



「っお前、なにやって!…風邪ひくぞ」


そうやって心配してくれる先輩が1番嫌い。

好きじゃないんだったらそのまま無視しちゃえばいいのに……!



だからなかなか諦められないの。



「でも、しばらくは先輩のこと好きなので諦めるまでは距離取ります!…もし諦めることができたらそのときは『1番可愛い後輩』として仲良くさせてください…!」



「へへ」と最大級に笑う。

ヘラヘラと笑う私が先輩の瞳にどう映ったかは分からないけど…ちょっとぐらい心が揺らいでくれたら嬉しい。



「聞いてくれてありがとうございました。…いや〜スッキリしました。だからもう後悔はないです」
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