石像は凍える乙女を離さない~石にされた英雄は不遇な令嬢に愛を囁く~
ルルティアナが『彼』を見つけたのは本当に偶然であった。
たった五歳で死に別れた母が墓に入った途端、ルルティアナの父親は、以前からよその家に住まわせていた愛人とその娘を屋敷に招き入れた。
義母は当然だという顔をして、ルルティアナの母の部屋を乗っ取り、母が大切にしていたドレスや装飾品を身に付け、お金に換えたりと勝手気ままだ。
一つしか歳の違わない異母妹のメルリアは、母に似た青い瞳以外は地味な見た目のルルティアナとは真逆で、華やかな義母に良く似た美しい少女だった。
父親は元から義母と恋人関係で、ルルティアナの母とは親が決めた政略結婚だったと口にしてはばからなかったので、当然のごとく彼女たちの味方。
何より、妹は父親とおなじ魔力持ち。ちっとも自分に似なかった娘より、愛を注いでいるのはすぐに分かった。
ルルティアナは、彼らにとっての体のいい下僕となり果てることになる。