私の愛は···幻

榊は、直ぐに
堂基家に連絡をいれて
グロリア弁護士が言った事を伝えて
自分も堂基家へと向かう

来客をつげるブザーがなり
菫が出ると
サングラスをかけた男性と
後に三名の海外の方が立っていた。

その男性は、日本語で
「失礼する。」
と、言って中へ入ると
「どこにいる?」
と、言うから
菫は、?と思うが
ああ、と思い
「リビングと書斎に」
と、伝えた。

男性は、ズカズカと進み
三人の方も続く。

泰人は書斎で
残っている社員の対応に
追われていた。

事実上、倒産となる。
退職金までは無理でも
給与だけは払わねばならない。

秘書課から各課の部長に伝える。

残金と健人のマンションも売却し
支払いの方へ回す。

建設途中のクライアントには、
違約金を払うことになる。

なぜ?こんな思いを
と、怒りが湧く

そこへ
菫が呼びにきた
「またか」
と、思いながらリビングに行くと
「キャーッ!!」と、叫びが

慌ててリビングへ入ると
サングラスをかけた男が立っていて
その下に健人が倒れていた。
健人の唇からは血が流れていた。

健人に駆け寄ろうとした花奈は、
海外の男性に抑えられていた
「なんだ、お前達は?
警察を呼ぶぞ!!」
と、叫ぶ泰人に
男は、泰人に顔を向けて
サングラスを外しながら
「呼べは良い。」
と、冷たく言い放った。

呼べと言われて
ぐっと、唸る泰人に
「天音の痛みに比べたら
蚊に刺されるよりはるかにましだろ。」
と、言う温斗に
「なに、また、あの女なの?」
と、言う花奈

温斗は、花奈の胸元を握り
するし上げる。

花奈は、宙に浮き苦しげな表情
「お前みたいな女が
天音を侮辱することは許さない。」
と、言いながら
ギリギリと締め付けて行く

苦痛の顔になって行く花奈に
後からきた相馬も泰人も心配顔で
見ていると菫が
「止めて下さい。
  手を離して下さい。」
と、言う
しばらく無視をしていた温斗だが
「チッ!」
と、言ってその場で手を離す
花奈は、ぐったりとその場に
崩れると相馬が
「なんていうことを
   死んだらどうするんだ。」
と、叫ぶが
「うるさい。
  そんなもの、どうでも良い。」
と、言う温斗。

そこへ、顧問弁護士の榊が
到着して
「あなたが、グロリアさんが
言われた方ですか?」
「そうだ。
俺と天音は、いとこ同士だ。
伯祖父様の怒りは、俺のひじゃない。
だいたい、おばあさまは、
お前が胡散臭いから
この結婚は反対だった。」
と、泰人を指さし言う
「だから、結婚式にも
顔を出さなかったし
自分の日本名を簡単に名乗っただけ

天音が、気に入らないなら
なぜ、息子を説得しなかった。
影で、この女と父親と結託して
天音をぞんざいに扱いやがって。

このバカ男も、この女に誑し込まれて
浮気なんぞ。臭ってる。

妊娠を喜び、早く伝えたかったのに
二人の浮気現場を見せられ
そのショックで流産をした。
なぜ、何ヶ月も天音を放置した!!
お前、天音を愛してなかったのか?
あんなに、何度も交際を
申し込んでおいて、
結婚が決まったら放置か?

天音は、病院に運ばれる中
意識も朦朧としているのに
離婚協議中ですから
知らせないで下さい。
と、何度も頼んだらしい。
救急隊員や病院のスタッフは
驚きより、あまりにも悲しかった
と、言っていた。

天音は、
おばあさまのそばに戻り
心配をかけたおばあさまに謝りながら
倒れて意識が戻らない。

いいか?この流産で天音の身体に
何か問題があったり
このまま、意識が戻らなかったら
お前達、地獄まで追いかけて行くからな。
賠償問題も、こんな金額では
済まされない。
金に不自由はないが
お前達には、とっては
一番苦しむ事だろうから。」
と、言う。

榊は、ゴクリと唾を飲み。

泰人は、苦渋な顔を
菫は、涙を流し
相馬は、驚きの顔
花奈は、まだ肩で息をしている。
健人は、下を向いたまま。

榊は、五人に
グロリア氏から預かっている
書類を温斗から貰い受け読み上げる。

それは、碧木 天音への
接触を禁止すると共に
碧木 天音に関する人達にも
関わることを禁ずる。

守れないときは、直ちに
法に基づく処置を行う。

これは、天音の名字が
変わっても有効とする。
と、書かれていた。
< 27 / 65 >

この作品をシェア

pagetop