私の愛は···幻
1️⃣1️⃣

🎹妻として🔸🔸


『また、無理してない?』
『あっ、お帰りなさい。』
『うん、ただいま。』
『うふふっ、無理してないよ。』
と、答える私を優しく抱きしめるアル
『どうだったの?今回は。』
『申し分なし。』
『そうだよね。
神の手をもつと言われる 
アルフレッド・ブレンデルですもの。』
『また、そんなこと。
    誰に訊いたの?』
『う〜んとネット。』
『まったく変なことばかり·····
天音もすごいピアニストだよね。』
『私なんて、アルの足元にも及ばないよ。』
『俺より上手で、いつも先生に
褒められていたくせに。』
『うふふっ、いつの話し?』
『負けたくなくて、
頑張ったんだから、当時。

天音に会場できいて欲しいんだ
チケット用意するから
おばあさま、もしくは
温子さんと一緒に。』
と、言うアルに
『行っても大丈夫かな?』
『どうして?大丈夫に決まってる。』
『だって、アルのファンの人達に
なんだか、申し訳なくて。』
『···はぁっ!まったく君は····。
俺のファンを大切に思ってくれるのは
嬉しいけど。
言ったでしょう。
天音と出会ってから、ずっと
天音を思ってピアノを弾いていると。
だから、俺のピアノは
天音でできているの。』
と、言うアルに真っ赤になりながら
『····あり···がとう······』
と、言い終わらない内に
沢山のキスが降り注がれた。
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