私の愛は···幻
1️⃣4️⃣
🎹出産
おばあ様、温斗、アルが
私の知らない日本の事を
知っているとは·····
まったく思っていなかった。
私は、色々な感情を持ちながら
無事に出産を終えた。
アルとおばあ様と先生と
何度も話をして自然分娩と決めた。
なにかあれば、直ぐに変更すると。
陣痛中に、何度も意識が遠のく
私をアルが引き戻し
精も根も尽き果てて
やっと我が子と対面できた。
その時のアルの顔を
私は忘れない。
アルは、ベネット先生
スタッフの人達に
お礼を言いながら
私とライラ(Lyra)を抱きしめた。
赤ちゃんは、男の子で
ライラ・フレンデル
無事に生まれて来てくれたことに
感謝しかない。
私は、アルからキスを受けながら
意識を失った。
アルは、かなり心配したみたいだが
ベネット先生とルーカス先生に
疲れただけだと
説明を受けてアル自身も
ふらりとして
休むように言われたが
天音から離れる事なかった。
赤ちゃんのライラは、
綺麗にされておばあ様達の元へ
天音も処置をされて病室へ
おばあ様達も心配しながら
その日は帰って行った。
アルは、天音の手を握り締め
『アマネ、ライラを産んでくれて
ありがとう。愛しているよ。』
と、天音の手に唇を寄せた。
両親には、無事に産まれた事を
連絡して、天音の現状も伝えた。
両親は、天音を心配していたが
先生方からのコメントも
伝えたから、少しホッとしていた。
アルは、何度も
天音がこのままいなくなるのでは
ないかと焦った。
陣痛と戦っていたと思えば
意識が遠のき
それを呼び戻す
『アマネ!!アマネ!!!』
呼ぶと少しだけ目を開き
俺を見て少しだけ微笑む
俺を安心させるためだ
だが、アルは
天音を失う怖さに涙が止まらなかった。
だから·······
もう、いいよ。
天音がいてくれたら······
と·······なんども、言いかけた。
叫びたかった。
だが·····
また、嫌な思いだけを天音に
植え付けるような事は
どうしても避けたかった。
だから、俺は意識を失う天音を
何度も呼び戻し
天音にライラを抱かせた。