私の愛は···幻

翌日には、天音は自分から
乳児室にライラを迎えに行き
母乳を与え、おむつを交換したり
ライラをお風呂に入る練習をした。

おかげで
天音とライラは、一週間を
待たずに退院をして
おばあ様のお家へと帰った。

天音は、アルに心配をかけて
しまった事を心配していた。

もちろん、おばあ様や温斗
良さん、温子さんに心配をかけて
しまったことも含めて。

ただ、アルは·····
心配を通りこした顔をしていた。
出産時にどれだけ心配かけたのかが
伺えた。

だから、一日でも早く
戻りたかった。

今日アルは、リサイタルで
迎えに来れないから
明日にして欲しいと
言っていたが

温子さんが
『アルフレッド様
わたくしにお任せ下さい。』
と、言ってくれて
アルは、おりるしかなかった。

温子さんは、天音がアルの為に
早く戻りたいと思っていることが
わかっていたから
そう、言ってくれたのだ。

温子さんが
タクシーの運転手と
荷物を積み込みをしてくれている
間に支払を終わらせて
温子さんと運転手さんに
お礼を言って
ライラを抱いて乗り込み
おばあ様の待つ
家へと帰り着いた。

おばあ様は、ライラを抱き
天音にすこし横になりなさいと
言ってくれた。

天音は、皆に心配かけている事が
わかっているので
そのようにして
少しだけ横になるつもりが·····

おでこに温かな温もりを感じて
眼を開くと
アルの心配そうな瞳と合う
『アル、お帰りなさい。』
と、言うと
『うん。ただいま。
   身体、大丈夫?』
と、言われて
『うん。ちょっと、横になるつもり
が······
ごめんね。出迎えも出来なくて。』
と、言うと
『そんな事は、思ってないよ。
俺の為に、俺に心配させないために
帰って来たんだよね。』
と、言うアルに
『うふふっ。すこし違うかな?
私がアルといたいから
帰ってきたの。』
と、言うと
アルは、びっくりした顔をした後に
沢山のキスを私にしながら
『愛している。』
と、言ってくれるから
『私もアルが大好き、本当に好き。』
と、言うと
アルは、顔を赤らめながら
頷いてくれた。
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