Rainbow Moon 〜操遇〜
ネットカフェから10メートル程先。
歩道橋がかかるその横に、アミューズメントパーク『XYZ(シーザ)』の看板が見えた。

「思い出したわ!どっかでみたことある気がしてたのよね。行くわよ!」

全くわけの分からない富士本と昴であった。

ビルの一階から五階までが、アミューズメントパークになっており、最新の大掛かりなゲームや、ビリヤード、ダーツ、コインゲームなど、多彩なパークである。

自動ドアを入ると受付があり、無料会員登録の案内ロボットが迎える。

近くにいた店員に、警察手帳を出そうとする昴を咲が止める。

「初めてなんで、ちょっと中見せてもらっていいですかぁ💕」

お色気フェロモン全開の咲。

「い、いいですよ。ご自由にどうぞ💦」

となって当たり前である。

フロアマップを既に確認した咲。
目標に向けて大人のヒールの音が響く。
若い男子達の目がそれを下から追う。

「あった❗️これよこれこれ」

普通のUFOキャッチャーである。
だが、富士本と昴も驚いた。

咲が富士本へ掌を伸ばす。

「仕方ねぇなぁ、ほらよ」

財布から100円玉を渡す。
慎重に中を伺う咲。

100円を入れ、サングラスを外し、そっとレバーを操作する。

見たことない程の真剣な瞳。

アームが下り、片方の腕が袋についたリングに入り、見事に引っ掛けて持ち上げた。

「こい、こい、…」息詰まる三人。

「コンっ!」 「キターっ❗️」
♪───O(≧∇≦)O────♪

見事に一発でゲットしたのである。

「お姉さん、やるねぇ」

後ろに30代後半っぽい男が立っていた。
監視カメラで見ていた店長である。

昴が取り出し口から商品を手に取る。

「これは!」

「いやぁ、参ったね。大玉をゲットしたのはまだ二人目だよ。こいつはここでしか手に入らないからねぇ」

無言でも、咲のドヤ顔は分かる。
なんてキメてる場合じゃない。

「あなたは?」

「あっ、失礼しました。これでもここの店長です。…で、刑事さん。また何か様ですか?」

仕事柄、人を見抜くのには慣れていた。

「バレてましたか!アハハ。だから普通の服装でって言ったのに」

サマースーツの昴。
ヨレヨレスーツの富士本。

しかし、一番目立ってるのは咲である、
確かに…刑事らしくはないが💧

「店長さん。私が二人目って言いましたが、一人目は?」

一瞬、警戒したのを富士本が見抜く。

「イヤイヤさすが店長さんだ、まぁ…大したことじゃねぇんだ、この飴玉を喉に詰まらせて、死んじまったやつがいましてねぇ」

くだけた笑顔で、さらりと言う。

直球勝負の富士本。
大したことである。

(やるじゃん、さすが!) (咲)

「ま、まぁ💦そんなわけでして…」
わざと慌てるフリをする。

「そんなことがあったとは…。確か、中学生の女の子ですよ。めちゃくちゃゲームが上手くて、休みの日に良く来てました」

「名前…なんか知りませんよねぇ?」

「さぁねぇ、名前まではちょっと」
鼻に触れ、残念そうに首を傾ける。

「じゃあ、この…」
内ポケットへ手を入れた昴。

「分かりました、ありがとうございます。また休みにでも遊びに来るわね。さぁ、休憩は終わり終わり、仕事よ仕事!」

咲に追い立てられ、店を出る三人であった。

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