Rainbow Moon 〜操遇〜
〜XYZ〜
日曜日の夜。
客は少なく、18:00を過ぎると、次々に皆んなが帰り始める。
早めに表にある、スタンドネオンの看板をしまいに出て来た店長。
「んん?」
そばにある歩道橋の中段に、七海がいた。
〜捜査本部〜
「ただの…偶然と思ったのよ、最初は。でも、良く考えると、あの事故現場に、部外者の私が行くこと自体、普通じゃないし、ましてそこで彼女にまた会うなんて…」
「偶然じゃ…ないって言うのか?」
今更ではあるが、富士本自身も、咲がこうしてここにいること自体、普通じゃないと思った。
「あれは、絶対に偶然なんかじゃない。あの時……あの時、私と目が合った時。彼女は…七海は…笑った…。一瞬だったけど、私を見て笑ったの❗️」
あの異常な空間で遭遇した不思議な感覚。
それが、今は底知れぬ恐怖に変わっていた。
「七海は、千佳に抱きついた時、きっと千佳の耳に囁いたはず」
あの時、七海の『大丈夫?』と言った囁き声、そして感じた寂しさや孤独感が甦る。
「千佳はその声に従って、七海をかばった彼女を撃った。七海を逃がす為に…。おそらく、自身の危険など考えることもなく」
「そんなことが…信じられない」
三上がドサッっと、崩れる様に椅子に座る。
「千佳のあの日の行動を教えてください」
落ち着いた低いこえで、咲が促す。
ざわつく本部内が静かになる。
「千佳は、近くにあるキックボクシングのジムに通ってました。平日の昼間は頻繁に行っていた様で、トレーナーが驚くくらい熱心で、家でも練習してた様です」
「家でも?」
「ええ、よくジムではない箇所にアザや傷があって、無理しない様にと注意してた様です」
「おかしいなぁ…笹原の家に、練習する様な器具は何一つ有りませんでしたが…」
「まさか、DV…とか?」昴が呟く。
誰もが羨やむ仲の良い夫婦。
その裏側は誰も知らない。
「それなら殺意があっても当然ですよね」
「続けてください」
憶測を振り切って、咲が事実を促す。
「普段は、いつも帰り道にある、スーパーで買い物をして帰るのですが、何故か大曽根のモールへ行っています」
(あっ!そうか)
「七海のプロフィールを見せて」
メインモニターに映し出される。
学校が、所定のアンケートを元に作成しているものである。
「やっぱり」「なるほど」
咲と富士本が気付いた。
「なんで気付けなかったんだろ!あの日は、七海の誕生日だわ」
「信雄の会社は、金曜は定時日だったな。仲の良い家族と公認の父親が、娘の誕生日に、定時で帰らないわけはねぇか」
「更に、好物はマグロのお刺身」
プロフィールのアンケートに記載されていた。
そこへ、タイミング良く分析官が入って来る。
「千佳の車に付いていた血は…」
「マグロですね?」と昴。
「え、なぜそれを?付け加えるとしたら、脂身が多い、かなりいい部位です」
「もしかして…トロ?…いや大トロ❗️」
そこに驚いてる時じゃない。
空気を読めない昴君。
「グゥ…」(あっ💦)
他にもいた💧…咲様。
「そ…そう言えば、朝から何も食べてなくて」
赤面する咲。
「ゴホンッ!」
わざとらしい富士本の計らいで話を戻す。
「事故当時、後部座席のドアは開いていた。多分、野良猫か野良犬が袋を破り、魚を奪い去ったのね」
千種駅周辺は、最近問題されるほど、野良犬や野良猫が増えていた。
「その後は、あの場所で信雄を待った…あの雷雨の中、その先にある運命も知らずに…」
「そこで、妙なことに気付きました」
千佳の捜査班が、分析班に目で合図する。
日曜日の夜。
客は少なく、18:00を過ぎると、次々に皆んなが帰り始める。
早めに表にある、スタンドネオンの看板をしまいに出て来た店長。
「んん?」
そばにある歩道橋の中段に、七海がいた。
〜捜査本部〜
「ただの…偶然と思ったのよ、最初は。でも、良く考えると、あの事故現場に、部外者の私が行くこと自体、普通じゃないし、ましてそこで彼女にまた会うなんて…」
「偶然じゃ…ないって言うのか?」
今更ではあるが、富士本自身も、咲がこうしてここにいること自体、普通じゃないと思った。
「あれは、絶対に偶然なんかじゃない。あの時……あの時、私と目が合った時。彼女は…七海は…笑った…。一瞬だったけど、私を見て笑ったの❗️」
あの異常な空間で遭遇した不思議な感覚。
それが、今は底知れぬ恐怖に変わっていた。
「七海は、千佳に抱きついた時、きっと千佳の耳に囁いたはず」
あの時、七海の『大丈夫?』と言った囁き声、そして感じた寂しさや孤独感が甦る。
「千佳はその声に従って、七海をかばった彼女を撃った。七海を逃がす為に…。おそらく、自身の危険など考えることもなく」
「そんなことが…信じられない」
三上がドサッっと、崩れる様に椅子に座る。
「千佳のあの日の行動を教えてください」
落ち着いた低いこえで、咲が促す。
ざわつく本部内が静かになる。
「千佳は、近くにあるキックボクシングのジムに通ってました。平日の昼間は頻繁に行っていた様で、トレーナーが驚くくらい熱心で、家でも練習してた様です」
「家でも?」
「ええ、よくジムではない箇所にアザや傷があって、無理しない様にと注意してた様です」
「おかしいなぁ…笹原の家に、練習する様な器具は何一つ有りませんでしたが…」
「まさか、DV…とか?」昴が呟く。
誰もが羨やむ仲の良い夫婦。
その裏側は誰も知らない。
「それなら殺意があっても当然ですよね」
「続けてください」
憶測を振り切って、咲が事実を促す。
「普段は、いつも帰り道にある、スーパーで買い物をして帰るのですが、何故か大曽根のモールへ行っています」
(あっ!そうか)
「七海のプロフィールを見せて」
メインモニターに映し出される。
学校が、所定のアンケートを元に作成しているものである。
「やっぱり」「なるほど」
咲と富士本が気付いた。
「なんで気付けなかったんだろ!あの日は、七海の誕生日だわ」
「信雄の会社は、金曜は定時日だったな。仲の良い家族と公認の父親が、娘の誕生日に、定時で帰らないわけはねぇか」
「更に、好物はマグロのお刺身」
プロフィールのアンケートに記載されていた。
そこへ、タイミング良く分析官が入って来る。
「千佳の車に付いていた血は…」
「マグロですね?」と昴。
「え、なぜそれを?付け加えるとしたら、脂身が多い、かなりいい部位です」
「もしかして…トロ?…いや大トロ❗️」
そこに驚いてる時じゃない。
空気を読めない昴君。
「グゥ…」(あっ💦)
他にもいた💧…咲様。
「そ…そう言えば、朝から何も食べてなくて」
赤面する咲。
「ゴホンッ!」
わざとらしい富士本の計らいで話を戻す。
「事故当時、後部座席のドアは開いていた。多分、野良猫か野良犬が袋を破り、魚を奪い去ったのね」
千種駅周辺は、最近問題されるほど、野良犬や野良猫が増えていた。
「その後は、あの場所で信雄を待った…あの雷雨の中、その先にある運命も知らずに…」
「そこで、妙なことに気付きました」
千佳の捜査班が、分析班に目で合図する。