Rainbow Moon 〜操遇〜
【8】囁きの始点
夕方に降り始めた雨は、僅かの間に豪雨に変わり、車道を隠して行く。
風も強まり、横なぐりの雨が、熱を帯びた街を冷やして行く。
七海は、いつもの様に、慎吾や友達達とXYZでゲームを楽しんでいた。
「あちゃ〜。外ヤバいよ。傘持って来なかったんだよね〜」
「沙織、天気予報くらい見なさいよ」
「七海、カッコつけの伊藤さんが、晴れた朝に傘なんて持つわけないじゃん」
「聞き捨てならないわね、慎吾。私は傘もっててもカッコいいんだから!」
想像した二人が、顔を見合わせて笑う。
「笑うな〜♪」
その時。
「ドーンッ❗️」
入り口の自動ドアが揺れ、瞬く様に全ての灯がチラつく。
「あ〜っ!いいとこだったのに。店長〜ゲーム代返してよ」
慎吾が近くにいた店長の今井にボヤく。
「天災は店のせいじゃないから…な…?」
笑いかけた今井の顔が、こちらを見て固まる。
慎吾もその異変に気づく。
その時、七海は違う「空間」にいた。
色々な風景や人、話し声、雨。
そして、悲鳴。
その悲鳴で、今の「空間」に戻った。
「な、何…今の?」
「七海、どうした?大丈夫か?」
丁度その時、沙織が待っていた体感型の新しいシューティングゲームが空いた。
「七海、やるよ!」
呆然としている七海の手を引っ張り、ゲーム機の中に座らせる。
「…ダメ、まさか…」
「何言ってんのよ七海。やっと空いたんだから、やるよ」
「そ…そんなのダメよ…行かなきゃ」
出ようとする七海の体を、沙織が後ろから抱き止める。
「放して、お願い!放してよ❗️」
「ダ〜メ。何言ってんのよ、シッカリしてよね、七海がいないとこれ無理なんだから」
必死で抵抗する七海。
コインが投入され、密閉型ゲーム機のシートベルトとドアがロックされた…
〜MIRAI〜
定時を告げるチャイムが鳴る。
土曜日の社内には信雄の他、3人だけ。
「さぁ、みんなご苦労様。帰るか!」
「は〜い」
一斉に切り上げ、帰り支度を始める。
「課長。今日もラブラブですね〜💕」
三階の窓からは、駅が良く見えた。
激しい雨の中、傘は半分程しか効果はない。
もう一つの傘を持って信号を待つ女性。
妻の夕海「ゆみ」である。
傘を持つ手が震えている。
部下に言われて、信雄も駅を見る。
「羨ましいだろう、ハハっ。じゃ!お先」
「お疲れ様でした」
笑って出て行く信雄。
エレベーターは使わず、わざとらしく音を立てて階段を駆け降りて行った。
風も強まり、横なぐりの雨が、熱を帯びた街を冷やして行く。
七海は、いつもの様に、慎吾や友達達とXYZでゲームを楽しんでいた。
「あちゃ〜。外ヤバいよ。傘持って来なかったんだよね〜」
「沙織、天気予報くらい見なさいよ」
「七海、カッコつけの伊藤さんが、晴れた朝に傘なんて持つわけないじゃん」
「聞き捨てならないわね、慎吾。私は傘もっててもカッコいいんだから!」
想像した二人が、顔を見合わせて笑う。
「笑うな〜♪」
その時。
「ドーンッ❗️」
入り口の自動ドアが揺れ、瞬く様に全ての灯がチラつく。
「あ〜っ!いいとこだったのに。店長〜ゲーム代返してよ」
慎吾が近くにいた店長の今井にボヤく。
「天災は店のせいじゃないから…な…?」
笑いかけた今井の顔が、こちらを見て固まる。
慎吾もその異変に気づく。
その時、七海は違う「空間」にいた。
色々な風景や人、話し声、雨。
そして、悲鳴。
その悲鳴で、今の「空間」に戻った。
「な、何…今の?」
「七海、どうした?大丈夫か?」
丁度その時、沙織が待っていた体感型の新しいシューティングゲームが空いた。
「七海、やるよ!」
呆然としている七海の手を引っ張り、ゲーム機の中に座らせる。
「…ダメ、まさか…」
「何言ってんのよ七海。やっと空いたんだから、やるよ」
「そ…そんなのダメよ…行かなきゃ」
出ようとする七海の体を、沙織が後ろから抱き止める。
「放して、お願い!放してよ❗️」
「ダ〜メ。何言ってんのよ、シッカリしてよね、七海がいないとこれ無理なんだから」
必死で抵抗する七海。
コインが投入され、密閉型ゲーム機のシートベルトとドアがロックされた…
〜MIRAI〜
定時を告げるチャイムが鳴る。
土曜日の社内には信雄の他、3人だけ。
「さぁ、みんなご苦労様。帰るか!」
「は〜い」
一斉に切り上げ、帰り支度を始める。
「課長。今日もラブラブですね〜💕」
三階の窓からは、駅が良く見えた。
激しい雨の中、傘は半分程しか効果はない。
もう一つの傘を持って信号を待つ女性。
妻の夕海「ゆみ」である。
傘を持つ手が震えている。
部下に言われて、信雄も駅を見る。
「羨ましいだろう、ハハっ。じゃ!お先」
「お疲れ様でした」
笑って出て行く信雄。
エレベーターは使わず、わざとらしく音を立てて階段を駆け降りて行った。