Rainbow Moon 〜操遇〜
「シンクロニシティ、意味のある偶然の一致。まさに今回の事件そのものなのよ!」

意味のある偶然の一致。
意味なく起こるものを、人は偶然で片付ける。
それに意味などあるはずがない。

しかし、シンクロニシティと言う言葉に人は辿り着き、その意味さえも定義したのである。

「そして、この事件に関係した者は皆んな、七海の囁きを聞いてる」

「バカな、まさか七海が全てやったとでも言うのか君は?偶然に意味が有ろうが無かろうが、偶然には違いないじゃないか。それに、恋人や豊山を殺す動悸はないだろうが」

三上の言っていることは正しい。
…今のところは。

「確かに…七海は、初めてテストで将吾に負けて、ショックだったとは思うが…」

学校の捜査担当が呟く。

「そんなことで、さすがに殺したりはしないわね。ただそこで気になることがあるのよ」

「えっ?」

「あなたの報告書を読むと、毎回テスト最終日に将吾は調子が悪い、と記されていたわ」

「はい、先生もそれは不思議がっていて、疲れとプレッシャーのためではないかと…」

「まさか、君はそれもシンクロニシティとか言うんじゃないよな?」

三上が喰いつく。

「いいえ、違うわ」

意外な顔をする三上。

「アレは、偶然じゃなくて必然よ。偶然の出来事も三回以上続くと、確率上は必然性を持つのよね」

「あ…その理論、僕も読んだことあります。もちろん、そこで言う偶然とは、例えばサイコロを振って同じ目が三回でるのとは違います。今回の様に、様々な背景と時間と言う全ての発生確率を乗じたものです」

「なる程、どう計算するのかは分からんが、とんでもなく低い確率、つまりは偶然…ではなくなるな」

富士本がわかり易く補足する。

「それから…世の中には、数字や目に見えない波長などから、物事の繋がり、つまりはその出来事への道筋を感じ取る人間がいるというの」

「それも知ってます。実証された例も少なくはありません。海外ドラマ…Tatch…だったかな?あれを見た時は鳥肌が立ちました」

「私も見たわ。その現象は、5才〜15、6才に見られ、そういう人間は、決まって天才的な頭脳の持ち主であるとか」

「七海さんも、大学レベル、いえそれ以上の知能を既に持っています!」

あのショーケースを見た昴は確信していた。
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