Rainbow Moon 〜操遇〜
【2】運命の交錯
(ヤッバ〜!何でこんな時に限って、もう💦)

膝上20センチのミニスカ。
スラリと伸びる美脚のヒールが駆けていく。

鳳来咲(さき)。
大学院を出て弁護士になった彼女。
今日はその初仕事であった。

角から出てきた人影とぶつかりそうになり、ヒールのバランスを崩して、派手にコケる。

「あいたたた…全くついてないわ」

そこへ小さな手が差し伸べられた。

「あっ💦…だ、大丈夫?怪我は無かった?」

だれがどう見ても、それは小さな手の持ち主が言うセリフである。

それでも起きあがって、目の前の少女を気遣わずにはいられない大人。

「大丈夫…そうね。良かったぁ」

決して、良かったぁ〜などと言ってる場合ではない咲である。

「あれ?あなた中学生よね?こんな時間にどうしたの?」

その時、彼女が喋れないことに気付いた。
何か言いたげな口元に耳を寄せる。

「だい…じょうぶ。おばさん…は?」

(なんて寂しい声…んっ?)

「おば、おばさんはないでしょ!あなた。これでも大学出たてのホカホカの立派な弁護士さんよ!だいたい、おばさんが、こんなミニスカ履いて、あんなに早く走らないでしょ!」

「クス」
七海が笑った。

その無垢な笑顔に我に返る咲。

「ま…まぁ、いっか。今は急いでるの。もし何かあったらここへ電話して」

慌てて中学生に名刺を渡す自称弁護士。
あっ💦確かに一応は弁護士。

「じゃあ、またね!」

そして走り出す咲。
(また?…って何で?)

それは、彼女が有能であること。
そして、人一倍か二倍か三倍くらいの鋭い勘が言わせた言葉であった。

(あ〜マジヤバ!何でこうなるかな、もう!)

初仕事を祝って飲み明かしたあげく、飲酒運転でアパートへ辿り着き、エンジンを切り、ライトをつけたままハンドル枕で寝たためである。

つまり、バッテリーあがりでエンジンかからず、自業自得のなりの果て。

ふと、声がした。

「お嬢さん。良かったら裁判所まで、乗ってくかい?」

と、言い終わる頃には、助手席に座っていた。
この中年が、神に思えた咲であった。
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