明日が終わる、その時まで【完】
「なんとかするのは私じゃなくて先生でしょ? 担任の原田先生はなにしてるの?」
亜美と梨花をなだめながら教室を見渡して、担任の原田先生を探す。
「原田先生ならさっきからそこにいるよ」
小春の視線の先を辿ると、女子たちが机を寄せて座る中に混ざるように椅子に座って教科書を開く原田先生がいた。
水風船を当てられたのか、髪から顔にかけて真っ黒な水がしたたる原田先生。
「うわっ、あれ先生だったんだ」
私の声に気づいた原田先生と目が合った。
「あら佐野さん、体はもう平気なの?」
心配そうに私の顔を見つめてくれるけど、先生こそ大丈夫ですか? と聞かずにはいられない。
私は原田先生に駆け寄って、先生の肩を強く掴んだ。
「原田先生、しっかりして下さい。なんで普通にしているんですか? 誰かタオルある? なかったら保健室から借りてきて!」
教室全体に向かって大きな声を上げると、男子の中で唯一の生き残りである福沢くんが一目散に動いてくれた。