明日が終わる、その時まで【完】
「で、この家出は何のためにするの?」
穏やかだったパパの目から笑みが消える。
パパはいつだって私の話を聞いてくれる。
私の行動を尊重してくれる。
普通の大人から見れば馬鹿みたいなことでも、呆れたり、頭ごなしに否定したり、止めたりしない。
でもそれは、その行動にちゃんと筋が通っていたらの話だ。
他人から白い目で見られる覚悟、たくさんの人に怒られる覚悟、事件や事故に遭う覚悟。
そのすべてを受け止められる覚悟がなければ、人と違う道を選ぶことは許さない。
人と違う選択をするのはそういうことだから。
パパから何度も聞かされていることだ。
私が今日から家出する理由は、
「柴田が、お父さんともう一回家族になるため」
どうなるかは私にもわからないけど、きっと今日の行動が未来を変えると思うのだ。
私の答えを受けて、パパが笑う。
「そう。じゃあ、行ってらっしゃい」
「うん。行ってきます」
土曜日の朝、午前5時過ぎ。
私はパパに見送られて、家出をした。