明日が終わる、その時まで【完】
「ばあちゃんなにしてたんだよ」
「市民病院で薬もらってきたんだよ。今帰るところだったんだけど、どっかで見たことある後ろ姿だったから……でもまさか本当に大吾だったなんてね」
「薬って、体悪いのかよ。つーか痩せたな」
「いいや、そんなんじゃないよ。私らの年齢になったら何かしら飲まなきゃならないんだよ。痩せたのは、健康診断で脂肪が多いって言われたから、頑張って体重を落としたんだよ」
「へえ。すげーじゃん」
おばあちゃんと喋る柴田は普段よりも幼く見えた。
表情こそ変わらないものの、言葉一つ一つに、おばあちゃんへの思いやりを感じる。
柴田はおばあちゃんのことが好きなんだって、すぐにわかった。
予定では、バスに乗って柴田が暮らしていた周辺に行くはずだったけど、
「私、お腹空いた」
「あ? さっき電車の中で散々弁当食ってただろうが」
「もう消えた」
「どんな胃袋してんだよ」
ぎょっとした顔で私を見ている柴田の隣で、おばあちゃんが遠慮がちに「ねえ」と放つ。