明日が終わる、その時まで【完】
す茶の間のテーブルには、すでにいくつものおかずが用意されてあった。
「うわあ、煮物だー!」
筑前煮、山菜の和え物、お漬物、おひたしにお味噌汁。
あとは、緑の野菜と刻んだお揚げが混ざったやつ。
名前はわからないけど美味しそう。
私が想像する、まさに田舎のおばあちゃん家のごはんだった。
「こんなものしかないけど、いっぱい食べてってね」
「いいえ。私これが食べたかったんです。私……これが食べたかった」
憧れのおばあちゃん家のごはんを、まさかこんな状況で食べることができるなんて、感激で、胸がいっぱいになる。
「ばあちゃん俺の茶碗は」
「おや、大吾も食べるのかい?」
「うん。急に腹減ってきた」
「そうかいそうかい。今持ってくるから待ってな」
おばあちゃんは嬉しそうに笑って席を立つと、台所に戻った。
「柴田、あんた食べないんじゃなかったの?」
「気が変わった」
「ねえ、私筑前煮のしいたけ大好きだから、とらないでよ?」
「へえ。覚えとく」
おばあちゃんは柴田の前に白いご飯が盛られたお茶碗を置いた。
「さあ、たんと食べなさい」
「いただきまーすっ」
「いただきます」
パンッと手と手を合わせて、私たちはおばあちゃんのご飯に口をつけた。