明日が終わる、その時まで【完】
「……昨日の」
「うん?」
柴田がゆっくりと口を開く。
「昨日、電車で話したこと。やっぱやめるわ」
「やめるって?」
「……万が一、母さんの死に、親父とあの人が関わっていたら、殺すってやつ」
おばあちゃんを用心してか、最後の部分だけ小さな声に切り替える。
「やめるの?」
「ああ」
「おばあちゃんが悲しむから?」
昨日の今日で気持ちが変わるなんて、それしか理由はない。
「ああ……そうだ」
「柴田にとって、おばあちゃんは大切な人なんだね」
おばあちゃんが柴田のことを心の底から大事に思っていることは、昨日一日一緒にいただけで、よくわかった。
同時に、柴田もおばあちゃんを大切に思っていることも伝わった。