明日が終わる、その時まで【完】
柔らかな空気が私たちを包み込んでいた時だった――「うっ! ぐううっ!」という苦しげな声が遠くから聞こえてきた。
「「っ!」」
私と柴田は、ほぼ同時に走り出していた。
柴田がおばあちゃんの部屋を勢いよく開けると――
「ばあちゃんっ!」
おばあちゃんは苦しそうに胸元を押さえながら、大量の血を吐いていた。
「救急車呼ぶ!」
「頼むっ」
救急車が到着するまで、私と柴田はおばあちゃんの手を握った。
下手に動かしてしまったら取り返しのつかないことになるかもと思うと、手を握ることしかできなかったのだ。
救急車は15分ほどで来たけど、こんなに長く感じた15分は初めてだったと思う。
私と柴田は血だらけの寝間着のまま救急車に乗った。
そして、市民病院に着くとおばあちゃんはすぐに手術室に運ばれていった。
救急車を待っている間の15分はとてつもなく長かったのに、救急車に乗せられて手術室に着くまでは、あっという間だった。
私は柴田と一緒に、おばあちゃんの回復を願い続けた。