明日が終わる、その時まで【完】


病室の扉を開けると、部屋の真ん中にあるベッドにおばあちゃんが横になっていた。

そばには看護師さんがいて、私と柴田が入ってくると、無言で病室から出て行ってくれた。

おばあちゃんは、もう起き上がる力も残っていないのか、視線だけを動かして、私と柴田を見た。



「ばあちゃん……」



柴田がおばあちゃんの顔のそばに近づく。

私は、二人から少し離れた場所で見守ることにした。



「……これ……とって」



おばちゃんは酸素マスクを外すように柴田に頼む。


「だけど」


酸素マスクを外すと呼吸がしづらくなって体が苦しいはずだ。

それを柴田もわかっているからこそ、おばあちゃんのお願いをためらっているのだろう。



「お、願い」

「……わかったよ」


柴田はおばあちゃんの口から酸素マスクを外した。
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