明日が終わる、その時まで【完】
「……5年、前に、おじいちゃんが……急に、亡くなって……寂しかった……自分の半身が……消えたような……孤独で……毎日、思い出して……思い、出しては、泣いて……一樹も……きっと同じ……一樹は、大吾も、いつも、泣いてるような目、してた……」
「あの親父が?」
「……大吾、の、前では……見せない……隠してる……父親、だから…………でも……一樹にもまた……幸せ、なって、ほし、かた……おせっかい……わかってても、私に、とっては……ずっと一人、息子……大事、な、息子」
「……うん」
「そ、んなとき………ゴホッ、ゴホッ」
「ばあちゃん、もういい。もういいから酸素マスクつけろって」
柴田が酸素マスクをつけようとするも、
「だめっ、お願い……聞いて……最後まで、聞いて」
おばあちゃんはもうほとんどないはずの力を振り絞って、拒否する。
「わかったよ。わかったから、ちゃんと理解できるから、もっとゆっくりでいい」
おばあちゃんの意思を大人しく受け入れた柴田。
「…………フウッ…………佳代子さんが……家に、来た」
「あの人が? ばあちゃん家に?」
「………そう……前の、職場の後輩だって……仕事を辞める前に、こっそり、一樹の、緊急連絡先、見て……ここに、来たて」
「それで?」
「……すぐ、わかた……佳代子さんが、一樹のこと……思って、くれてる、て……嬉し、かった……大吾のことも……気にかけて、くれて…………この人、なら……私の息子と、孫を……守って、くれるかも、しれないって……勝手に、思って…………教えた」