明日が終わる、その時まで【完】
おばあちゃんの告白によって、ようやく腑に落ちた。
いたって単純なことだった。
佳代子さんが仕事を辞めて、自分の地元とはえい、お父さんが向かった場所に行ったのは――お父さんが好きだったから。
同じ職場だったということは、もしかすると結婚する前から、柴田のお父さんに片思いしていた可能性もある。
そこへおばあちゃんのアシストによる偶然の再会だったのだ。
じゃあ佳代子さん愛人説は完全に白ということになる。
だって本当に愛人だったら、わざわざ緊急連絡先の住所を盗み見て実家へ行く必要なんてない。
偶然を装って、お父さんが現れる場所に顔を出す必要もない。
「わかったけど、何でそれを俺に謝るんだよ」
「……私、ずるい……考えが、あった……」
「ずるい考え?」
「……当時、佳代子さん、は……40歳…………もう……子どもは、望めないと、思った……だから……なおさら……大吾に……いいと、思た」
「子どもができたら、俺が孤立するとでも思ったのか?」
おばあちゃんは気まずそうな顔で頷いた。
「そんな……ずるい、考え……持ってるから……願いと、反対の、こと、起きる……祥吾が、生まれて……大吾は……もっと、辛くなったん、じゃ、ないか、てっ……っ……ううっ」
年齢的に子どもが望めない女性なら、柴田だけに意識を、愛情を注いでくれると思ったのだろう。