明日が終わる、その時まで【完】



おばあちゃんの思惑を佳代子さんが知ったら、きっとショックを受けると思う。


だけど、お父さんと柴田のことを一番に考えるのは母親として、祖母として当たり前のことだ。

おばあちゃんの立場からすれば、一番守りたいものは息子と孫なのだから、そういう考えを持っていたからといっておばあちゃんを責めることなどできない。


「別に、祥吾の存在が辛いなんて思ったことねえよ」


「……っ」


おばあちゃんが目を丸くして柴田を見つめる。


「……あの人も、悪い人じゃないってわかってる。俺のこと、いっつも気にかけてくれてるしさ……ただ、どうしていいかわかんねえんだよ」


「……どう、い、う……こと?」


「……もう少し、ガキだった頃ならもっと上手く表現できたのにさ。今もガキだけど、足はでかくなるし、声も変わるし、顔は骨ばっていくし……体だけいっちょ前に大人になってって……そんな姿でさ、ガキの頃みたいなことしたら、気持ち悪いだろ。わかんねんだよ……どうしていいか」


柴田の言っていること、私にもわかる。


16歳、もうすぐ17歳。子どもだけど、完全に子どもってわけでもない。

顔はまだ幼いけど、体だけ見れば大人と変わらない。

でも中身は全然成長していなくて。

周りからも、大人扱いされることもあれば、子ども扱いされることもある。中途半端な年齢。


気が付いたら、家族、親戚、友達、先生、他人によって、対応を変えることもできるようになっている。意識することなく自然に。


そんな自分が嬉しくもあり、気持ち悪くもあり、時々恥ずかしくもなる。


もしかしたら女子よりも男子の方がその感情に振り回されやすいんじゃないかな。

世の中は、男が感情を表に出すのは格好悪いっていう雰囲気だから。



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