明日が終わる、その時まで【完】
◇
私がインフルで苦しんでいた間に、2組のみんなは色んなことを経験したのだろう。
こんな教室でも、壊れた原田先生を前にしても、普通に授業を受けている。
人間の順応性って恐ろしいわ。
教室さえ見なければ完全に普通の授業風景だった。
そういう私も上履きと靴下を脱いで、持参してきた白のサンダルに履き替えて授業を受けていた。
「晶ちゃん、これ休んでいる間のノートだよ」
「わあ、小春ありがとー。助かるー!」
小春の生真面目さを表したような丁寧な文字。
大雑把でクセのある私の字とは正反対だ。
こんな滅茶苦茶な教室でも小春がいるなら私には天国。
正直、アホな男子がなにをしようがどうなろうが知ったこっちゃないけど……。
「晶ちゃん……男子たち、戻ってきたよ」
小春の声に緊張が走る。
さっきまで穏やかだった小春の顔は、怯えたような表情に変わる。
原田先生も、教室のみんなの空気も一気に張り詰めたのがわかった。
そして――ガラッと勢いよく教室の前の扉が開かれると、意気揚々とした男子たちが教室に入ってきた。