明日が終わる、その時まで【完】






温かくて柔らかいものが唇に触れたような気がして、私はゆっくりと目を覚ました。



「……んっ」



あれ、この布団、おばあちゃん家の。

ああそっか、ここおばあちゃん家か。

おばあちゃんが息を引き取った後、柴田のお父さんと佳代子さんがやってきて、それで、すごく眠くて。
あれ、私どうやってここに戻ってきたんだっけ?


体を起こすと、ドアの近くに座る柴田の姿があった。

でもなぜか、私に背を向けて座っている。


「柴田?」

「……ん、ああ。起きたのか」

「うん。今何時? 私、どうやってここに戻ってきたの?」


おばあちゃんが吐血したときについた血だらけの寝間着じゃなくて、違うパジャマになっていた。
佳代子さんが着替えさせてくれたのだろう。


「今は昼の12時過ぎ。ここには親父の車で戻ってきたんだ」

「12時? うわあ、寝たなぁ」


爆睡も爆睡だ。

どうりで、頭がすっきりしているはずだ。


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